横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全改善活動(その2/3)【のぶさんのさんぽ道(SANPO-DO)】by 中島農夫男
さんぽコラム のぶさんのさんぽ道(SANPO-DO)
横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全改善活動(その2/3)
中島 農夫男
投稿日:2017年12月21日 10時00分
*『横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全改善活動(その1/3)』はこちら
国土安全保障(DHS)、労働安全衛生(OSHA)、環境保護(EPA)の合同作業部会は、連邦行政機関の保安ルール改善の活動計画として下記の5分野に絞り活動した。
(1)地域の緊急対応時の対応計画
(2)連邦行政機関連携の強化
(3)データ管理の改善
(4)施行方針や規則の最新化(含硝酸アンモニウム)
(5)利害関係者からのベストプラクティス収集と共有
活動報告(2015年6月)の特記事項
・緊急時対応の連携強化策として390,000以上の化学施設の緊急対応計画と情報共有が整備され、連邦、州と地方の緊急時対応標準手順書(SOP)が現地実験から作られた。
・連邦機関は、それぞれが類似のデータ収集をし、化学物質データの中心収集機能が無かったのでEPAの登録システム(SRS)にOSHA/PSMの対象物質や爆発物リストを含む中央情報システムとした統合化と更新がされた。様々な規則の包括情報、連邦提出情報等のほぼすべてが検索、利用できる仕組みとなった。
・EPA/SRSは、連邦機関の追跡中や規制対象物質、化学製品、生物学的物質や連邦、州、地域関係者が関心のある物質等の権威ある情報源となっている。
・EPAは、コンピュータ支援システムの強化、更新をして非常事態の緊急時対応者がウェブ上で自由に利用できる大気分散モデリング、化学物質データベース、マッピング等のツールも含まれたものとした。
・地域保安・安全、労働者保護、化学施設保安に関する3省(DHS、EPA、OSHA)の主要規制の最新化是正がされた。
・EPA/RMPとOSHA/PSMの両者は、より安全な技術と選択肢採用も検討し、まずはより安全な技術の利用促進の共同指針を発行した。爆発物規則は、地元の消防当局に爆発物の貯蔵開始時から毎年の報告を求めて事故の際の備えとした。
以上、標準手順書基盤の連邦、州、地域間の縦の情報伝達の展開、緊急時対応者被災回避に向けた情報統合化と即時アクセス化、行政機関とオーナーや経営者の共通ツールとした行政窓口のICT整備ができてきた。この行政システムの継続と定期的な評価等から確かな改善把握と支援の更なる高度化等が次の注目点ではないだろうか。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 客員研究員
化学系民間会社で事業と技術のライフサイクルの各ステージを広く薄く携わった後、産総研にて事故情報収集と原因分析業務などに従事しております。
事例の物語風編集で”気づきセンス”の研ぎ澄ましにお役に立てればと思っています。