投稿日:2021年07月01日 10時00分
かつてこのコーナーで「リチウムイオン二次電池の廃棄に関する事故」を取り上げたことがあります。二次電池とは「充電して繰り返し使用できる電池=充電池」を意味します。二次電池にも様々な種類がありますが、中でもリチウムイオン二次電池は小型で軽量、高電圧であるため、ノートパソコンやスマートフォンのバッテリなどに使用され、私たちの生活になくてはならないものとなっています。今回は、リチウムイオン二次電池が関連する事故を防ぐためにー使用編ーと題し、その使用等における注意点についてClose UPです。
リチウムイオン二次電池とは
二次電池とは「充電して繰り返し使用できる電池=充電池」を意味します。二次電池にも様々な種類がありますが、中でもリチウムイオン二次電池は小型で軽量、高電圧です。その特性から、リチウムイオン二次電池はノートパソコンやスマートフォンに組み込まれました。私たちが使用しているノートパソコンが軽量になり、外出時に気軽に持出して使用することができるようになったことや、日々何気なく使用しているスマートフォンの電池が長持ちするようになったのも、リチウムイオン二次電池のおかげと言っても過言ではありません。
このように、リチウムイオン二次電池は、私たちの生活になくてはならないものとなっています。それはもちろん、それだけ私たちの身の回りに存在するリチウムイオン二次電池の数が多くなったということを意味します。
リチウムイオン二次電池が関連する火災の発生状況
ここで、
東京消防庁の資料を参考に、ここ数年のリチウムイオン二次電池の火発生状況を見ていきたいと思います。(以下、資料に倣い、一部「リチウムイオン電池」と表記します。)
以下に、
東京消防庁の
「令和2年版火災の実態」から、「リチウムイオン電池の火発生状況」の資料を引用します。
リチウムイオン電池関連火災状況(最近5年間)
(東京消防庁、令和2年版火災の実態、(5) リチウムイオン電池の火発生状況
ア 製品用途別火災状況、表3-6-6リチウムイオン電池関連火災状況(最近5年間)より引用)
東京消防庁管内でのリチウムイオン電池関連火災件数は、年々右肩上がりに増加し、平成27年(2015年)には26件でしたが、令和元年(2019年)には102件と、5年でおよそ4倍となっているのが伺えます。
また、製品用途別の火災状況は以下の通りとなっています。
製品用途別火災状況(最近5年間)
(東京消防庁、令和2年版火災の実態、(5) リチウムイオン電池の火発生状況
ア 製品用途別火災状況、表3-6-7製品用途別火災状況(最近5年間)より引用)
同じく東京消防庁管内での火災件数ですが、この表から、先にリチウムイオン二次電池を使用していると例示した、ノートパソコンやスマートフォン(携帯電話、モバイルバッテリ)の火災件数を見てみたいと思います。
ノートパソコンについては平成27年(2015年)には1件でしたが、令和元年(2019年)には12件に、携帯電話については1件が11件に、また、携帯電話等の出先での充電などに使用するモバイルバッテリについては、4件が23件に増加しており、その他の製品の火災状況を見ても、軒並み火災件数は増加しています。
製品が便利になり、安価に手に入るようになると、世の中に出回る製品の数が増加します。そして、それに伴い、火災の件数も増加していると考えられます。
リチウムイオン二次電池搭載製品の事故を防ぐために
それでは、火災をはじめとした事故を防ぎ、リチウムイオン二次電池を搭載した製品を安全に使用するためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、
一般社団法人電池工業会の
「リチウムイオン二次電池の安全で正しい使い方」を参考に確認していきたいと思います。
- 電池を乳幼児のそばに放置しない
- 電池をペットのそばに放置しない
- 電池が液もれしたら火気から遠ざける
- 長い時間使用しない時は、電池を機器から取り出す
- 電池はショート(短絡)させない
- 電池に釘を刺したり、踏みつけたりしない
- 電池は充電器や機器に正しく接続する
- 決められた充電器で充電する
- 電池を直接電源コンセントやシガレットライターに接続しない
- 使用時間が極端に短くなった電池は使用しない
- 電池や電池パックは分解、改造はしない
- 電池に直接ハンダ付けしない
- 電池や電池パックの模造品(改造品)は危険です
- 電池は火中に投入しない
- 電池を電子レンジなどに入れない
- 電池や電池パックは濡らさない
- 電池や電池パックに強い衝撃を加えない
- 電池を高温になる場所に放置しない
- 電池の異常に気づいたら使用を中止する
- 膨れた電池を無理やり機器に装着しない
- 熱がこもる場所でのリチウムイオン二次電池の充電はしない
- 電池は高温になる場所での充電はしない
- 取り扱い説明書を読む
項目を並べるとかなり多く感じるかも知れませんが、いずれも日頃から注意しておけば難しいことではありません。
リチウムイオン二次電池の適切な使用を心がけ、事故を防ぎましょう。
【参考情報】
【参考記事】
さんぽニュース編集員 伊藤貴子
