RISCAD Update 2018年1月第3週【週刊化学災害ニュース】

2018/01/12 12:00 - 2018/01/19 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2018年01月24日 10時00分

*2017/12/25発生の、群馬・神社でガスボンベ交換作業中に爆発、火災
:(昨年12月の事故)神社の社務所でのLPガスボンベ交換作業中の事故。社務所内で使用されていた灯油ストーブから約1.5mの距離で作業をしており、何かの原因で漏洩したガスに着火
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9152

*2018/01/10発生の、千葉・半導体製造工場で有毒ガスが漏洩
:除害筒からリン系ガスやヒ素系ガスなどの有毒ガスが漏洩。除害筒の一部が破損したことなどが原因か
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9153

*2018/01/14発生の、茨城・セメント工場でタイヤチップの火災
:石灰石を焼くための炉の燃料のタイヤチップ周辺から出火した可能性
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9154

*2017/01/16発生の、徳島・食品包装容器工場で火災
:同工場は徳島阿波おどり空港の滑走路の北約250mに位置していたが、火災による空の便への影響はなかった
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9155

*2018/01/16発生の、大分・製油所で触媒用配管の保温材の火災
:残油流動接触分解装置の配管に巻かれた保温材が燃えた可能性。配管内部は常時約500℃だった
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9156

*2018/01/17発生の、新潟・金属製品工場でステンレスの研磨中にプレス機械から火災
:機械でのステンレスの研磨中。機械から出火
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9157

*2018/01/17発生の、茨城・マンホール内での作業中にガス中毒
:マンホール内での雨水管設置作業中の事故。酸素欠乏かガス中毒が起きた可能性
https://riscad.aist-riss.jp/acc/9158

本日この記事を書いている1/22は、大寒波の襲来ということで関東地方でも雪が降っています。

1/12に富山で一酸化炭素中毒による死亡事故が起きたのですが、この事故はエンジンをかけた駐車中の車内で発生しました。

亡くなった方は朝6時までの勤務を終え職場の駐車場に停めてあった車に乗り込んだものとみられ、発見されたのは午後2時半で、その時車周辺にはタイヤの高さほどの積雪があったそうです。警察の調べでは、積雪により車のマフラーが塞がれ、車内に排気ガスが逆流して一酸化炭素中毒で死亡した可能性があるとのことです。

亡くなった方が朝6時に車に乗り込んだ時にも周辺にはたくさんの雪が積もっていたことが予想されます。

JAF(一般社団法人日本自動車連盟)のテストによると、車のマフラー周辺が除雪されていない状態でエンジンをかけた場合、換気の条件によっては一酸化炭素濃度が2時間ほどで失神するレベルにまで上昇する可能性があるそうです。(参考情報【JAF:クルマ何でも質問箱】参照)

亡くなられた方は、暖機運転のためにエンジンをかけて車内にいたのか、仮眠を取ろうとしていたのか、または他の事情があったのかは不明ですが、誠に痛ましい事故です。ご冥福をお祈りいたします。

雪深い地域にお住いの方にとっては常識的な知識でも、雪に慣れていない地域での稀な大雪となると、車の運転の仕方、ブレーキのかけ方などのテクニック不足はもちろん、このようなあまり気づけない危険も潜んでいます。

今回の降雪では、私の住む地域ではマフラーを塞ぐほどの大雪にはならないとは思いますが、いざという時のために知識としては知っておきたいものです。

参考情報:JAF(一般社団法人日本自動車連盟)サイトより引用
クルマ何でも質問箱「雪で埋まった場合の一酸化炭素中毒の危険性とは?」

一酸化炭素中毒などの恐ろしさについては、こちらの「さんぽコラム」コーナーの「人と化学のランデヴー by 若倉正英」 「労働災害と酸素欠乏症」でも触れられています。ぜひご一読ください。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子