RISCAD Update 2019年10月第4週【週刊化学災害ニュース】

2019/10/18 12:00 – 2019/10/25 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2019年10月30日 10時00分

(現在、RISCADはリニューアルのため公開停止中です)


*2019/10/18発生の、新潟・原子力発電所の電源室で火災
:空調用の蒸気を製造する補助ボイラ建屋内の電源室の電源盤から出火した可能性。同建屋は放射性管理区域外で、放射性物質の漏洩はなかった

*2019/10/18発生の、福島・台風による河川氾濫でめっき工場からシアン化ナトリウムが流出
:台風の大雨により河川氾濫が起きてめっき工場が浸水。工場の基礎コンクリート内部にある廃液槽からシアン化カリウムが漏洩して流出し、工場から約300m離れた側溝で排水基準の約156倍に当たる78mg/Lのシアン化合物を検出した。シアン化ナトリウムは、毒物及び劇物取締法で毒物に指定されており、水や酸などと接触するとシアン化水素(青酸ガス)を発生する

*2019/10/19発生の、大分・樹脂リサイクル工場で火災
:工場屋外の資材置き場で火災が起き、樹脂減量400tが焼け、敷地内の倉庫にも延焼

*2019/10/19発生の、大阪・川に停泊中の砂利運搬船で火災
:船のデッキの一部と発電機が焼損。当時船には積載物はなかった

*2019/10/21発生の、大分・薬品工場の攪拌室で火災
:湿布液などを製造する攪拌室での火災。静電気で薬品などに着火した可能性

*2019/10/22発生の、インドネシア・重機で軽油パイプラインを傷つけて火災
:工事現場で使用していた重機で誤って軽油パイプラインを破損し、軽油が漏洩して着火した可能性

今年のノーベル化学賞は旭化成株式会社名誉フェローの吉野彰先生が受賞されました。吉野先生は産総研関西センター内に所在する「技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター」(LIBTEC(リブテック))の理事長も務めていらっしゃいます。

吉野先生がノーベル賞を受賞した功績は、リチウムイオン二次電池の開発です。パソコン、スマートフォンなどが小型化・軽量化されたのは、このリチウムイオン二次電池のおかげであることはいうまでもありません。

一方、呼称に「リチウム」という言葉が使われているため、リチウムイオン二次電池と混同されがちな電池があります。それはリチウム電池です。リチウム一次電池とも呼ばれ、私たちの身の回りですとコイン型の電池(ボタン電池などとも呼ばれる)がメジャーなところでしょうか。

ではこのリチウム一次電池とリチウムイオン二次電池の違いは何なのでしょうか?発電の仕組みの違いはもちろんありますが、ここではその説明は割愛させていただき、以下にその特徴と用途をあげてみます。

リチウム一次電池
使い切りの電池で、いわゆる市販の乾電池と同じ用途
・高電圧
・軽量
・寿命が長い
・低温、高温環境で使用可能(-40℃から85℃)
・主な用途:時計、スマートエントリー(車載用機器)の携帯鍵、電子手帳

リチウムイオン二次電池
充電して繰り返し使用できる充電池
・高電圧
・軽量
・主な用途:パソコン、携帯電話、スマートフォン、電動工具、デジタルカメラ

このように、リチウム一次電池とリチウムイオン二次電池には、わかりやすい大きな違いとして、使い切りか充電可能かということがあります。

いまや私たちの生活に欠かせない存在となったリチウムイオン二次電池ですが、充電して繰り返し使用していればいつかは寿命がやってきます。その場合には当然廃棄することになるわけですが、最近、誤って廃棄されたリチウムイオン二次電池が原因となった火災等の事故が多発しているそうです。

詳しくは、11/7更新予定の RISCAD CloseUPのコーナーにて紹介させていただきます。

リチウム一次電池の廃棄に関する過去記事はこちら(該当記事は事故事例の下にあります)

さんぽニュース編集員 伊藤貴子