RISCAD Update 2022年7月第3週【週刊化学災害ニュース】

2022/07/15 12:00– 2022/07/22 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年07月27日 10時00分



*2022/07/06発生の、兵庫・河川施設から自家発電機用重油が漏洩

:河川事務所の排水機場で自家発電機燃料用の重油約8,000Lが漏洩。河川への流出は確認されなかったが、河川事務所が排水樋門に吸着マットを設置。重油は地下に浸透した可能性があり、試掘での調査が計画された。燃料配管接続部のシール材が損傷し、重油が漏洩した可能性

*2022/07/14発生の、フランス・伝統式典の打上花火が異常飛翔して地上付近で開発

:煙火玉が観客席付近で開発。家族と共に煙火打揚場所から約46m離れた場所で煙火を見物していた子供2名が死亡し、観客8名が負傷。煙火玉の打揚げは、コンピュータにより制御されていた
 *花火の事故に関する用語はこちらの記事をご参考ください。
  打上花火に関係する事故とその用語【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

*2022/07/16発生の、タイ・製錬所で制御盤の修理中に爆発、火災

:制御盤の修理のため製錬所を訪れていた電気技師3名がやけどで死亡し、初期消火を行った製錬所の従業員4名が感電し、うち1名が死亡、3名が負傷。制御盤の修理作業中に何かの原因で爆発が起きた可能性

*2022/07/07発生の、埼玉・坑道内で鉱物採掘中に酸欠

:趣味の鉱物採集のため坑道を訪れていた一般人4名のうち、2名が酸欠による窒息で死亡。消防が坑道内の2名が倒れていた場所付近の酸素濃度を計測したところ、一部で約5%と著しく低かった

*2022/07/19発生の、富山・中古車販売会社の作業所で火災

:作業所内のガス溶接機付近の燃え方が激しかったことから、溶接機で車両の解体をしていた際に出た火花で、周辺の可燃物に着火して作業所などに延焼した可能性。作業所内では車両の解体や部品の回収などが行われており、焼却炉などがあった

*2022/07/19発生の、米国・水力発電施設で変圧器の爆発、火災

: 火災により発電所内の変圧器15器のうちの1器が損傷したが、発電や送電への影響はなし。この発電所で発電された電力は、近隣の3州、計約800万人に供給されていた


先々週のRISCAD Updateでお知らせした以下の事故ですが、調査が進み、事故の原因などに関する報告書がまとまったとのことです。

2022/7/2 青森・燃料再処理工場で放射性廃液の冷却停止で温度上昇
使用済み核燃料再処理工場の高レベル放射性廃液のガラス固化建屋で、2系列ある廃液の安全冷却水設備の冷却水がいずれも流れておらず、冷却が約8時間停止して廃液の温度が通常より約8℃高くなった。会社の調べでは、2系列の安全冷却水設備のうち、1系列は工事のため停止中であったが、もう1系列の設備の仕切弁も閉められており、冷却水が流れていなかった。その後仕切弁を開け、冷却水の流量を復帰させて冷却が回復した。

2系列ある廃液の安全冷却水設備の仕切弁のうち、工事中のため停止中の系列について、工事監督が作業員に、停止中の系列の仕切弁を閉じるよう指示をしたところ、作業員が誤って別のもう1系列の弁を閉めてしまったことが原因の可能性があるとのことです。2つの弁の距離は近く、誤認しやすい位置関係であったことなどがこの事故の一因となったと考えられます。

再発防止策として、設備の監視を強化することや、誤認防止のため仕切弁の番号を表示すること、表示を大きくすることなどを徹底するとされたとのことです。

 

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子