RISCAD Update 2022年9月第2週【週刊化学災害ニュース】
2022/09/02 12:00– 2022/09/09 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年09月14日 10時00分
:工事業者が使用する仮設プレハブ事務所での火災。事務所の内壁が焼けた
:金属加工機械が何かの原因で爆発した可能性。金属加工機械1台と建物の一部が焼けた
:アルミニウムを鋳造して自動車のエンジンなどの部品を製造する工場での火災。工場内のシリンダヘッドの熱処理用機械の下に敷かれていた樹脂製シートやウエスなどが焼けた
:工場の電力を賄う発電タービンを回すための高温蒸気の供給や、紙の乾燥に使用する低温蒸気の供給に使用しているバイオマスボイラでの事故。木材チップなどの燃料をボイラに投入する準備作業中に爆発。グループ会社の作業員1名が負傷して病院に搬送された
:衣類物流会社とプラスチック成形加工会社が共同で使用する倉庫での火災。倉庫内では従業員8名が作業中であったが、避難してけが人はなし
:有機溶剤の回収と化学廃棄物の処理などを行う工場での火災。敷地内の大量の化学物質燃えて煙が発生したため、消防が工場から1km以内の住民に家の窓を閉めて空調を止め、自宅で待機するように呼びかけた。工場の従業員15名全員が負傷し、うち1名がやけどで重体、2名がやけどやけがで重傷、15名が煙を吸うなどして軽傷を負った
2022/8/5 福岡・花火大会で学校の弓道場に煙火玉が落下して爆発、火災
花火大会で煙火玉の黒玉が付近の高等専門学校の木造平屋建ての弓道場で地上開発して火災が起きた。消防が約20分後に鎮火したが、同弓道場約150平方mが焼け、破損するなどした。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、黒玉が同弓道場の屋根を突き破って落下し、地上開発した可能性がある。
事故後、県が煙火製造業者に立入検査を行い、花火大会前日に行われた導火線の加工作業で、作業員の手などについた汗で導火線が湿ったことにより煙火玉が正常に打ち上がらなかった可能性があると推測されたようです。
これについて、県は煙火製造業者に以下のような行政指導を行ったとのことです。
・夏場を含む暑い時期の導火線の加工作業を避ける
・導火線が湿らないよう、こまめに汗を拭くなどの湿気対策を行う
・1名で行っていた作業を2名で分担し、互いに確認し合いながら行う
最高気温が35℃以上となる猛暑日が多くなってきている日本の夏ですが、昔から夏に汗はつきもの。その汗が夏の風物詩の煙火玉の製造にまで影響が及ぶとは驚きです。
さて、この事故の話にはもうひとつ後日談があるようです。
変わり果てたた弓道場を目の前に、同校の弓道部員達は途方に暮れました。彼らは練習場所を失い、道場内にあった用具などが焼けるという被害を受けたのです。なかでも全国大会への出場を決めていた部員のショックは相当なものであったといいます。
しかしそこに、花火大会の実行委員でもある自治体をはじめ、窮状を知った個人や団体など各方面からの支援の申し出があり、無事に練習場の確保や用具の調達ができたようです。
それから約1ヶ月、部員達は練習に励み、9/1-2に開催された全国大会では、女子団体の部で見事準優勝を飾ったとのこと。
不運な事故ではありましたが、部員達にとっていろいろな意味で忘れられない夏になったことでしょう。
*花火の事故に関する用語はこちらの記事をご参考ください。
打上花火に関係する事故とその用語【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP
さんぽニュース編集員 伊藤貴子