RISCAD Update 2021年5月第2週【週刊化学災害ニュース】
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投稿日:2021年05月19日 10時00分
:解体作業中の従業員1名が全身やけどで死亡。死亡した従業員はガスバーナを使用して不燃廃棄物の解体作業中で、ガスバーナの火で衣服に着火した可能性
:硫化鉄を用いた理科の実験での生徒の体調不良。21名が病院に搬送されたが全員軽症。実験で発生した硫化水素を吸入した可能性
:木屑用の集塵機の稼働中に、木屑に着火して粉塵爆発が起きた可能性。工場の一部と機械が焼けた
:錆止塗料や化粧品材料の金属亜鉛粉末を製造する工場での事故。亜鉛粉末の大きさを風で選別する分級ファンに不具合が起き、亜鉛粉末に着火して粉塵爆発が起きた可能性。高温の亜鉛粉末は放水による消火や冷却ができず、砂をまくなどして消火活動が行われた。協力会社社員1名が全身やけどで重傷、2名が顔へのやけど、1名がけがで軽傷
:機械を使用した食品加工作業中に起きた火災。作業中の従業員1名が両手首などにやけどを負った
:工事現場で消火水槽設置のための地面の掘削作業中に、地中に埋まっていたガスボンベに重機のアームが接触して破損し、ボンベ内に残留していた有害ガスが漏洩。消防が現場から硫化水素、シアン化水素、塩素を検出。工事現場には以前水道局の浄水場があったが、現在は更地で、包装資材会社の新設工事中であった。現場の作業員と近隣住民ら計20名が体調不良となり病院に搬送され、1名が重症、19名が喉の痛みなどで中軽症。後日、警察が破損したボンベとは別の老朽化したボンベ1本を現場から回収
木造2階建ての居酒屋で火災が起きた。消防車など約40台が約3時間半後に消火したが、同店舗が全焼した。避難のため店舗2階から飛び降るなどし、店内にいた客1名が意識不明の重体、客と従業員計11名が軽傷を負った。警察と消防の調べでは、同店舗1階の厨房のコンロの火で厨房内に設置された樹脂製の飛沫防止シートに着火し、近くにあった消毒用エタノールに延焼するなどして被害が拡大した可能性がある。飛沫防止シートと消毒用エタノールは、COVID-19(新型コロナウイルス)感染症対策のために設置されていた。
今回の火災では、COVID-19感染症対策として設置された飛沫防止シートと消毒用エタノールが火災原因、被害拡大要因となりました。
飛沫防止シートについては、今回の火災のように設置場所付近での火気使用による着火の危険性はもちろん、場合によっては設置位置が照明と近いことで、その熱で溶けたり着火したりすることも想定できます。消毒用エタノールについては「さんぽのひろば」で過去に何度か取り上げましたが、消防法上の危険物第4類(アルコール類)で、引火性液体です。
一般家庭で飛沫防止シートを設置しているところは少ないかと思いますが、勤務先などで設置されている場合には、飛沫防止シートの設置場所付近に火気または着火の危険があるものがないか確認してみることをお勧めいたします。
【参考記事】
- RISCAD Update 2020年6月第2週(文末に飛沫防止シートについて記載)
- エタノールの特性と分類-消毒用エタノールは引火性液体-【注目の化学災害ニュース】2020年3月のニュースから RISCAD CloseUP
- 消毒用エチルアルコールを取り扱う時に注意すべきこと【注目の化学災害ニュース】2020年4月のニュースから RISCAD CloseUP
