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RISCAD Update 2021年12月第2週【週刊化学災害ニュース】
2021/12/03 12:00– 2021/12/10 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。
投稿日:2021年12月15日 10時00分
*2021/12/02発生の、埼玉・排水処理施設からジクロロメタンが流出して河川に流入
:農業集落排水処理施設からジクロロメタンが流出して河川に流入した可能性。上流の河川で環境基準の34倍の0.68mg/Lが、また別の上流の河川で環境基準の330倍の6.6mg/Lのジクロロメタンが検出された。水道水への影響はなし
*2021/12/03発生の、宮城・水産加工会社で火災
:建屋の2階から出火した可能性。1名が体調不良で病院に搬送された
*2021/12/03発生の、大阪・飲食店でカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発
:使用済みのカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中の事故。飲食店の経営者が、店内で缶切りを使用してガスボンベの穴あけ作業をしており、ボンベ内の残留ガスが漏洩して滞留し、着火した可能性。経営者が手にやけどで軽傷
*2021/12/04発生の、東京・大学の実験室で実験中にアルキルリチウムの火災
:実験室では学生5名が薬品を混合して反応を確認する実験中で、アルキルリチウムの溶液をこぼして出火した可能性。校舎の5階部分の壁など約30平方mが焼けた
*2021/12/05発生の、広島・廃棄物処理工場の廃材置場で火災
:廃材置場に山積みにされていた扇風機などの小型廃家電から出火した可能性。廃家電など約200立方mが焼けた
*2021/12/06発生の、埼玉・地方自治体支所で地下埋設配管から灯油が漏洩
:支所の施設裏に設置された灯油貯蔵タンクの地下埋設配管から灯油が漏洩した可能性。近隣の井戸、河川や浄水場の水質に影響なし
3年前のちょうど今頃の時期(2018/12/16)、北海道の不動産仲介店で発生した消臭スプレーの処分中のガス爆発事故は、120本もの使用期限が近い消臭スプレーを噴霧処分中に起きたものでした。同店の店長が手を洗うために湯沸かし器をつけた際に、エアゾール噴出剤の可燃性ガスに着火して起きた爆発により、店長1名が重傷、従業員1名が軽傷を負い、また、同じビルに入っていた飲食店やビル外の飲食店の客、通行人など計50名が骨折や切創などで軽傷を負いました。
この事故では、噴霧処分していた消臭スプレー缶の本数が多く、また、同じビルに飲食店が入居していたこともあり、事故の規模が大きく、記憶に残る事故となりました。
先週、大阪でカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発が起きました。簡略化した概要は上記でお知らせしていますが、より詳細な概要は以下の通りです。
カセットコンロを使用した鍋料理をする回数が増える冬、一般家庭でも使用済みのカセットコンロ用ガスボンベの処分をする機会が増える可能性があります。また、暮れにかけての大掃除で、使い切った洗剤が入っていたスプレー缶や、あとで処分しようとこれまでためておいたスプレー缶、カセットコンロ用ガスボンベを廃棄するために、中身のガスを出しきったり、自治体の決まりによっては、ボンベや缶に穴あけをしたりといった作業をされる方がいるかと思います。
例えその本数が少なくても、スプレー缶やガスボンベ内の残留ガスが漏洩して滞留したところに着火すれば、規模の差は違えど、爆発が起きる可能性はあります。ガスを出しきって廃棄するのはもちろん大事なことですが、火気がない風通しのいい屋外で行うことは忘れないようにしましょう。
「火気がない」と言いましたが、それは近くに裸火がないことだけを言うものではありません。ガスが流れていく範囲に、電気製品などがないことを確認する必要があります。なぜなら、残留ガスが滞留した状態で電気製品を使用するためにスイッチを入れると、スパークで着火する可能性があるからです。これはエアコンの室外機も例外ではありません。通常、エアコンの室外機は屋外に設置されていると思いますが、屋外であるからといってその近くでガス抜きをすれば、室外機作動時のスパークで残留ガスに着火する可能性があります。また、換気扇があるからと台所や風呂場で行うと、コンロの火、風呂釜の種火、換気扇のスイッチなどのスパークで着火する可能性があるので、避けましょう。
「さんぽのひろば」では、スプレー缶などの処分時に気をつけるべきことについて、過去の事故事例を共有しつつ、幾度となく注意喚起を行ってきました。小さな行動ではありますが、記事を目に止めた方がその内容を思い出してくださることで、また、誰かに伝えてくださることで、不幸な事故が減ることを願っています。
この事故では、噴霧処分していた消臭スプレー缶の本数が多く、また、同じビルに飲食店が入居していたこともあり、事故の規模が大きく、記憶に残る事故となりました。
先週、大阪でカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発が起きました。簡略化した概要は上記でお知らせしていますが、より詳細な概要は以下の通りです。
12/3 大阪・飲食店でカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発
8階建てのマンションの1階の飲食店でカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発が起きた。消防車13台が出動したが、延焼はなかった。路上に破損したガラスが飛散した。同店の経営者1名が手にやけどで軽傷を負った。店内に客はいなかった。付近の道路が通行止めとなった。警察と消防の調べでは、負傷した経営者は、使用済みのカセットコンロ用ガスボンベのガス抜きのため、缶切りを使用してガスボンベの穴あけ作業をしており、ボンベ内の残留ガスが漏洩して滞留し、着火した可能性がある。
2018年の北海道の事故事例では、処分していた消臭スプレーの本数が多かったためその規模の大きさは際立っていたと言えますが、大阪の飲食店で発生した規模のガス爆発は、作業の環境を誤れば、家庭内でも発生する可能性があります。
8階建てのマンションの1階の飲食店でカセットコンロ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発が起きた。消防車13台が出動したが、延焼はなかった。路上に破損したガラスが飛散した。同店の経営者1名が手にやけどで軽傷を負った。店内に客はいなかった。付近の道路が通行止めとなった。警察と消防の調べでは、負傷した経営者は、使用済みのカセットコンロ用ガスボンベのガス抜きのため、缶切りを使用してガスボンベの穴あけ作業をしており、ボンベ内の残留ガスが漏洩して滞留し、着火した可能性がある。
カセットコンロを使用した鍋料理をする回数が増える冬、一般家庭でも使用済みのカセットコンロ用ガスボンベの処分をする機会が増える可能性があります。また、暮れにかけての大掃除で、使い切った洗剤が入っていたスプレー缶や、あとで処分しようとこれまでためておいたスプレー缶、カセットコンロ用ガスボンベを廃棄するために、中身のガスを出しきったり、自治体の決まりによっては、ボンベや缶に穴あけをしたりといった作業をされる方がいるかと思います。
例えその本数が少なくても、スプレー缶やガスボンベ内の残留ガスが漏洩して滞留したところに着火すれば、規模の差は違えど、爆発が起きる可能性はあります。ガスを出しきって廃棄するのはもちろん大事なことですが、火気がない風通しのいい屋外で行うことは忘れないようにしましょう。
「火気がない」と言いましたが、それは近くに裸火がないことだけを言うものではありません。ガスが流れていく範囲に、電気製品などがないことを確認する必要があります。なぜなら、残留ガスが滞留した状態で電気製品を使用するためにスイッチを入れると、スパークで着火する可能性があるからです。これはエアコンの室外機も例外ではありません。通常、エアコンの室外機は屋外に設置されていると思いますが、屋外であるからといってその近くでガス抜きをすれば、室外機作動時のスパークで残留ガスに着火する可能性があります。また、換気扇があるからと台所や風呂場で行うと、コンロの火、風呂釜の種火、換気扇のスイッチなどのスパークで着火する可能性があるので、避けましょう。
「さんぽのひろば」では、スプレー缶などの処分時に気をつけるべきことについて、過去の事故事例を共有しつつ、幾度となく注意喚起を行ってきました。小さな行動ではありますが、記事を目に止めた方がその内容を思い出してくださることで、また、誰かに伝えてくださることで、不幸な事故が減ることを願っています。
【参考記事】
- 冬に発生しやすい家庭内の事故ー年末年始に向けて再確認ー【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP
- スプレー缶-そのしくみと危険、注意点をもう一度考える-【注目の化学災害ニュース】2020年8月のニュースから RISCAD CloseUP
- 台所での事故を考える【注目の化学災害ニュース】2020年2月のニュースから RISCAD CloseUP
- スプレー缶に関連する事故【注目の化学災害ニュース】2018年12月のニュースから RISCAD CloseUP
さんぽニュース編集員 伊藤貴子