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教育現場での理科の実験中の事故について【週刊化学災害ニュースまとめ】2017年下半期のニュースから RISCAD LookBack

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

2018年の「さんぽのひろば」スタートの記事は「RISCAD LookBack」です。2017年下半期で印象に残った事故を振り返ってみたいと思います。

投稿日:2018年1月4日 10時00分

下半期に限ったことではないのですが、教育現場での理科の実験中の事故が目につきました。

ここでは、RISCAD速報化が始まった2017年4月からの小学校、中学校で起きた事例を見ていきたいと思います。

硫化鉄を作る実験での生徒たちの相次ぐ体調不良

5月に立て続けに起きた、硫化鉄を作る実験に絡む生徒の体調不良。
教諭がどこまで実験の安全確保と生徒への安全教育を考えた指導をし、また、生徒たちはどれくらいの危険意識を持って実験に臨んでいたのでしょうか。

5/2 広島・中学校で理科の実験中に体調不良

5/10 大阪・中学校で理科の実験中に硫化水素で体調不良

5/19 長野・中学校で理科の実験後に硫化水素で体調不良

5/25 長野・中学校で理科の実験中に体調不良

5/25 埼玉・中学校で理科の実験中に硫化水素で体調不良

5/31 長野・中学校で理科の実験後に体調不良

個人的に考えさせられたことは生徒たちの感受性の強さです。
中学校の実験レベルで発生する硫化水素は、いったいどれくらいの濃度なのか。実験手順ミスや化学物質の混合量に誤りがなくても、これだけ多数の生徒たちが体調不良を訴えているということは何を意味するのか。
現代に潜む様々な問題も隠れているような気がしてなりません。

教諭の指導力不足の傾向

9月以降に起きた3件の事故事例はそれぞれ、教諭の指導に問題があった可能性があります。

9/28 島根・中学校で理科の実験中に水素が爆発

10/2 愛知・中学校で科学部の実験中にエタノールが飛散

5/31 埼玉・小学校で理科の実験中に塩酸がこぼれ体調不良

先輩教諭から実験のスキルや注意点を学ぶ機会が少なくなっていることが指導力不足につながっている可能性もあげられています。教育界にも、産業界と同じく技術伝承がうまくいっていない風潮があるようです。

教諭が実験の知識をしっかり身につける時間が持てるようになり、それにより安全を遵守した指導が行われ、子どもたちの身が危険にさらされることがなくなるよう切に願います。

【参考記事】

私たちは、子供たちの理科の実験について様々な議論をしました。過去に紹介した以下の2本のRISCAD Close Up記事も併せてお読みいただければ幸いです。

RISCAD Close UP – 中学生に実験の経験は必要ないのか?【注目の化学災害ニュース】2017年5月のニュースから

RISCAD Close UP – 理科の実験における教諭への安全教育の重要性【注目の化学災害ニュース】2017年9月のニュースから

また、私たちのサイトでは、「子ども向け化学災害コーナー」を設けて、子どもたちが遭遇しそうな化学災害をクイズ形式で紹介しています。残り少ない冬休みですが、お子さんと、お孫さんと、このクイズを解いてみて化学災害への理解を深めていただけたらと思います。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子