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RISCAD Update 2022年1月第5週-2月第1週【週刊化学災害ニュース】
2022/01/28 12:00– 2022/02/4 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年02月09日 10時00分
*2022/01/28発生の、秋田・大学の敷地内の牛舎で火災
:鉄骨造平屋建ての牛舎1棟約700平方mが全焼し、飼育されていた牛51頭のうち30頭が焼死した。牛舎内では子牛向けに、日常的に夜間も電気ストーブなどの暖房器具を使用していた
*2022/01/28発生の、愛知・茶葉販売店の焙煎機で火災
:地下街の茶葉販売店での火災。茶葉を焙煎する機械から出火した可能性
*2022/01/31発生の、大阪・金属スクラップ工場で廃棄物の火災
:工場の敷地内に野積みされていた金属スクラップ入りの袋に、焼却炉の火で着火した可能性
*2022/01/31発生の、福井・原子力発電所で補修工事中に養生シートの火災
:放射性廃液を処理する建屋の溶接を伴う設備の補修作業中の火災。溶接の熱が養生用の樹脂製の養生シートに伝わり着火した可能性
*2022/02/02発生の、大阪・プラスチック加工工場で薬品から出火
:プラスチックの洗浄作業中の火災。従業員4名がプラスチックの洗浄作業をしている際に、プラスチックの加工に使用する薬品から出火した可能性
*2022/02/04発生の、神奈川・クリーニング工場の洗濯機で爆発
:洗濯機の電源を入れた約5分後に何かの原因で爆発した可能性。電源を入れた従業員1名が全身やけどで病院に搬送された
先週は、「この季節になると、この事故をよく耳にする」という観点で、中国での春節に関連する爆竹や花火についての事故について触れました。
今週も先週に引き続き、「この季節になると、この事故をよく耳にする」をお送りいたします。今回は日本国内でのこの時期ならではの風物詩が関連した事故についてです。
その風物詩とは、氷上でのワカサギ釣りです。
氷上でのワカサギ釣りは、湖に張った氷が一定の厚さとなり、氷の安全性などを確認された上で解禁されるので、毎年何月何日に解禁と決まっているものではありません。また、氷上ワカサギ釣りができる湖でも、全面凍結しなかった場合などは解禁が見送られ、中止となる年もあります。
子供の頃に見たテレビのニュースでは、氷上ワカサギ釣りが解禁されましたという話題とともに、釣り上げたワカサギを天ぷらにしている様子などが放映され、とても楽しそうに思えました。とはいえ、私自身は氷上ワカサギ釣りまだ一度も体験したことはありません。
さて、そんな氷上ワカサギ釣りで、毎年のように聞かれる事故があります。釣りというレジャーでの事故ですが、先にも言ったように、十分な氷の厚さと安全性の確認がされた上で解禁されているので、湖の氷が割れて落ちるといったものではありません。
では、どのような事故なのか。それは私たちの命を脅かす可能性がある一酸化炭素中毒です。
氷が張った真冬の湖の上は間違いなく寒く、防寒のためテントを張って釣りをする人が多くいます。そして、その中で暖房器具を使用する人や、カセットコンロ用ガスボンベを使用した調理器具などで、釣ったワカサギを調理をする人もいます。中にはその調理器具の熱を暖房がわりにするという人もいるようです。
しかし、寒いからといってテントを締め切って火気を使用した暖房器具や調理器具を使用していると、燃焼に必要な酸素が十分に供給されず、不完全燃焼により一酸化炭素が発生して室内に滞留する可能性があります。換気をせず、一酸化炭素が滞留したテント内で釣りを続ければ、一酸化炭素中毒を起こす可能性が高まります。
せっかくの楽しいレジャーで体調不良となったり、病院に搬送されたりすることになれば、残念な思い出になってしまいます。一酸化炭素中毒は、最悪の場合命を落とすこともありますから、そんなことになれば残念な思い出どころでは済まされません。
とはいえ、この氷上ワカサギ釣りでの一酸化炭素中毒の事故は、最初に述べたように「この季節になると、この事故をよく耳にする」ものです。毎年数件は起きている事故にも関わらず、なかなか減らない事故なのです。「自分は大丈夫」と思わず、よく起きている事故であることを認識して十分に注意して、氷上ワカサギ釣りを楽しんで欲しいものです。
以上、2週にわたり、海外と国内での「この季節になると、この事故をよく耳にする」について書いてみました。また機会があれば同じような観点から事故に触れてみたいと思います。
今週も先週に引き続き、「この季節になると、この事故をよく耳にする」をお送りいたします。今回は日本国内でのこの時期ならではの風物詩が関連した事故についてです。
その風物詩とは、氷上でのワカサギ釣りです。
氷上でのワカサギ釣りは、湖に張った氷が一定の厚さとなり、氷の安全性などを確認された上で解禁されるので、毎年何月何日に解禁と決まっているものではありません。また、氷上ワカサギ釣りができる湖でも、全面凍結しなかった場合などは解禁が見送られ、中止となる年もあります。
子供の頃に見たテレビのニュースでは、氷上ワカサギ釣りが解禁されましたという話題とともに、釣り上げたワカサギを天ぷらにしている様子などが放映され、とても楽しそうに思えました。とはいえ、私自身は氷上ワカサギ釣りまだ一度も体験したことはありません。
さて、そんな氷上ワカサギ釣りで、毎年のように聞かれる事故があります。釣りというレジャーでの事故ですが、先にも言ったように、十分な氷の厚さと安全性の確認がされた上で解禁されているので、湖の氷が割れて落ちるといったものではありません。
では、どのような事故なのか。それは私たちの命を脅かす可能性がある一酸化炭素中毒です。
氷が張った真冬の湖の上は間違いなく寒く、防寒のためテントを張って釣りをする人が多くいます。そして、その中で暖房器具を使用する人や、カセットコンロ用ガスボンベを使用した調理器具などで、釣ったワカサギを調理をする人もいます。中にはその調理器具の熱を暖房がわりにするという人もいるようです。
しかし、寒いからといってテントを締め切って火気を使用した暖房器具や調理器具を使用していると、燃焼に必要な酸素が十分に供給されず、不完全燃焼により一酸化炭素が発生して室内に滞留する可能性があります。換気をせず、一酸化炭素が滞留したテント内で釣りを続ければ、一酸化炭素中毒を起こす可能性が高まります。
せっかくの楽しいレジャーで体調不良となったり、病院に搬送されたりすることになれば、残念な思い出になってしまいます。一酸化炭素中毒は、最悪の場合命を落とすこともありますから、そんなことになれば残念な思い出どころでは済まされません。
とはいえ、この氷上ワカサギ釣りでの一酸化炭素中毒の事故は、最初に述べたように「この季節になると、この事故をよく耳にする」ものです。毎年数件は起きている事故にも関わらず、なかなか減らない事故なのです。「自分は大丈夫」と思わず、よく起きている事故であることを認識して十分に注意して、氷上ワカサギ釣りを楽しんで欲しいものです。
以上、2週にわたり、海外と国内での「この季節になると、この事故をよく耳にする」について書いてみました。また機会があれば同じような観点から事故に触れてみたいと思います。
【参考記事】
- 危険予知トレーニング(KYT)のススメ その3【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP
- 冬に多発する一酸化炭素中毒【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP
- 私たちの身近な場所での一酸化炭素中毒【注目の化学災害ニュース】2018年6月のニュースからRISCAD CloseUP
さんぽニュース編集員 伊藤貴子