RISCAD Update 2021年6月第3週【週刊化学災害ニュース】
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投稿日:2021年06月23日 10時00分
:市場内の2階建ての建物でのガス爆発。建物は、1階で軽食や野菜などの食料品の販売をしており、2階は住宅用のアパートとなっていた。同建物が倒壊し、別の建物や周辺の車両が破損。市場には買物や朝食のため多数の客などがおり、25名が死亡、37名が重傷、ほか101名が負傷
:ガス補給車から、スタンドの地下に埋設された燃料タンク4基にガスを補給中に、接地が不十分で着火、爆発した可能性。35名が負傷
:工業用潤滑油添加剤などを製造する工場での爆発、火災。工場内の潤滑油や化学物質、消火剤などが付近の河川に流入するのを防ぐため、工場の敷地の周りに溝を掘るなどし、放水での消火は中止され、可燃物が燃尽きるのを待った。消防士1名が軽傷を負ったが、従業員約70名は全員避難して無事であった
:銑鉄取出し作業でマンホールのボルトを締める際に、隙間から高炉ガスが漏洩した可能性。高炉ガスを吸込んだ作業員3名が一酸化炭素中毒で病院に搬送
:道路舗装工事中に誤ってガス管を破損してLPガスが漏洩し、工事に使用していたガスバーナの火でガスに着火した可能性。工事現場付近の道路の雨水桝から出火し、直後に周辺のマンホール蓋2枚が噴飛んだ
:鉄と硫黄の化合物を加熱して塩酸を加え、硫化水素を発生させて臭いを確かめる実験後の生徒の体調不良。授業を受けた生徒24名のうち、13名が体調不良となり、1名が病院に搬送されたが、全員軽症。実験で発生した硫化水素を吸込んだことなどが原因の可能性
中学校で硫化水素を発生させる理科の実験中に体調不良が起きた。理科室で実験をしていた生徒32名のうち、9名が体調不良となり、保健室で学校医の診察を受けたが軽症であった。生徒9名は同日中に授業に戻った。教育委員会の調べでは、試験管内で硫化鉄に塩酸を加えて硫化水素を発生させ、臭いを嗅いで確かめる実験中に、試験管を持っていた生徒の椅子を別の生徒が揺らしたため、試験管内の薬品がこぼれ、周囲で臭気を吸込んだ7名が実験後に頭痛やむかつきなどの体調不良となった。また、正しい臭いの嗅ぎ方の指示が伝わらなかった別の生徒2名が試験管に鼻を近づけて臭いを嗅ぎ体調不良となった。実験中は窓を開けて換気扇を作動させていた。
中学校で硫化鉄を用いた理科の実験体調不良が起きた。3クラスの生徒計約90名が、クラスごとに別の時間に理科室で実験を行った。同生徒のうち21名が体調不良となり、病院に搬送されたが全員軽症であった。教育委員会の調べでは、鉄、硫黄、塩酸などを使用した実験で発生した硫化水素を吸入した可能性がある。実験は換気をして行われていた。
中学校の理科の授業で硫化水素を発生させる実験後に体調不良が起きた。教員の指導の下、生徒が数グループに分かれて鉄と硫黄の化合物を加熱して塩酸を加え、硫化水素を発生させて臭いを確かめる実験を行った。授業を受けた生徒24名のうち、13名が体調不良となり、1名が病院に搬送されたが、全員軽症であった。教育委員会の調べでは、実験で使用した試薬の分量、実験手順、指導、換気状況などは適切であった。実験で発生した硫化水素を吸込んだことなどが原因の可能性がある。
実験状況等に不備があった場合、不備がなかった場合、どちらでも起きた事例がある生徒たちの体調不良。生徒たちの感受性が高くなったことに起因しているのか、それとも他に何か原因があるのか。今後この「硫化水素を発生させて臭いを嗅いで確かめる実験」はどのように扱っていくべきなのか、教育の現場でも悩ましいのではないかと思われます。
【参考記事】
- 実験をしなければ事故が起きない、は良いことなのか-教育現場での安全教育の可能性-【注目の化学災害ニュース】2020年5月のニュースから RISCAD CloseUP
- 中学生に実験の経験は必要ないのか?【注目の化学災害ニュース】2017年5月のニュースから RISCAD CloseUP
- 理科の実験における教諭への安全教育の重要性【注目の化学災害ニュース】2017年9月のニュースから RISCAD CloseUP
- 教育現場での理科の実験中の事故について【週刊化学災害ニュースまとめ】2017年下半期のニュースから RISCAD LookBack
