今シーズン初めて暖房器具を使用する前に【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2022年11月10日 10時00分

ついこの前まで半袖で過ごしていたような気がしますが、ふと夜の闇に耳を傾けると、秋の虫の声はほとんど聞こえなくなっていました。それもそのはず、季節はもう11月。私の住む茨城でも朝晩は冷える日が出てきましたが、日中は少し動くと汗ばむ日もあり、1日の気温差が大きい季節であることを感じます。さて、朝晩に寒さを感じるようになると、朝起きた時だけは、また、夜の入浴後だけはと、時間を限定しながらであったとしても、暖房器具を使用し始める方が多いのではないでしょうか。今回は「今シーズン初めて暖房器具を使用する前に」と題し、暖房器具の使用開始前に再確認していただきたいことにClose upです。

寒い時期の題材選び

11月に入りました。毎月第1木曜日に更新するこのRISCAD CloseUPのコーナーですが、今月は第1木曜日が文化の日で祝日であったため、1週遅れての更新となっています。11月に入りました、と書き出しましたが、11月はすでに1/3が終わってしまいました。今年もこのままのスピード感で、あっという間に12月に突入するのでしょうね。

毎月このコーナーでみなさんに何をお伝えしようかと、私の拙い頭であれこれ考えているわけですが、なるべく時節に合った題材で、事前に知っていただく、または思い出していただくことで何かの事故を減らせるかもしれない内容となるようにしています。そうすると、晩秋から冬にかけては、火災への注意、暖房器具関連の注意、鍋の季節であることからカセットこんろの使用に関する注意(換気不足による一酸化炭素中毒を含む)などに偏りがちです。

今回も暖房器具についてなので、「またか」と思われてしまうかもしれませんが、恐らく春に暖房器具を片付け、その後半年以上使用していないという方が多いのではないかと思われますので、おさらいの意味を込めて暖房器具を使用する前に確認しておきたいこと、注意したいことを考えていきましょう。

 

石油ストーブ、石油ファンヒータ

数年前からの新型コロナウイルスの流行による経済活動への影響や、年初来の世界情勢の変化による影響で、私たちの身の回りではいろいろなものが値上がりしています。暖房器具の熱源となるものも例外ではありません。灯油も、ガスも、電気も値上がりしています。

そんな中、石油ストーブなどの灯油を使用した暖房器具のタンクやポリタンクに、前のシーズンに購入した灯油(持ち越し灯油)が残っているとしましょう。「灯油、高くなっているしもったいないから使ってしまおう。」という考えが頭をよぎるかもしれませんが、保管状況によっては灯油が変質(酸化や水分の混入など)している場合があるので、使用は避けましょう。もったいないと思って使用した灯油で予期せぬ事故が起きては、元も子もありません。

購入した灯油は、そのシーズン中に使用してしまうのが理想的ですが、使い切ることができない場合もあるかと思います。シーズンの終わり頃、寒くなくてもストーブを炊いて持ち越し灯油が出ないようにするという方法もありますが、灯油を購入した販売店で処分をお願いすることもできるようです。前シーズンの灯油が残っていて処分に困ったからといって無理に使用せず、灯油を購入した販売店などに相談してみましょう。

また、灯油は危険物です。下水道や川などに流したり、庭にまいたりして廃棄することは絶対にやめましょう。

 

ガスストーブ、ガスファンヒータ

次に、熱源にガスを使用するガスストーブやガスファンヒータの使用開始前に注意、確認したい点です。

これらの暖房器具は、熱源であるガスを暖房器具に供給するためのガスコードやガス用ゴム管などの接続具を使用しますが、これらはゴムと樹脂でできているため、暖房器具本体より寿命が短いことが考えられます。毎シーズンの使用の前にガスコード、ガス用ゴム管が破れたり、穴が開いたりしていないか確認しましょう。また、暖房器具と接続具、ガス栓と接続具、それぞれがしっかり接続され、緩みなどがないかを確認しましょう。

いずれも、ガスが漏洩することで起きる事故を防ぐために重要なことです。ガスの漏洩はガス中毒のみならず、状況によっては火災やガス爆発やなどの大きな事故につながる可能性がありますので、使用前にはしっかりと確認しましょう。

 

電気ストーブ

最後は、電気を使用する電気ストーブなどについてです。

電気を使用する暖房器具には、電源コードが付いていると思います。暖房器具を使用していない間、電源コードをまとめて束ねるなどして保管することがあるかと思いますが、その際にコードを無理な方向に捻るなどしたことで、コードに異常が起きたりしていないか、また、被覆が破れていないか、断線していないか、電源プラグが破損するなどしていないかを確認しましょう。異常があるのにそのまま使用すると、漏電などにより火災につながる可能性があります。

 

暖房器具にも寿命は来

ここまで、家庭にありそうな暖房器具について、今シーズン初めて使用する前に確認しておきたいことを並べましたが、主に触れたのは暖房器具の燃料、接続具、コード、プラグなどの暖房器具本体以外のことについてでした。ここでは意外と見逃しがちな暖房器具の寿命について考えてみましょう。

暖房器具は、例えば冷蔵庫や洗濯機などの家電製品のように年がら年中使用するものではなく、寒いシーズンだけに使用するものです。とはいえ、暖房器具にも寿命はきます。機器自体に異変を感じれは、機器の買替えも視野に入れなくてはいけません。

一般社団法人日本ガス石油機器工業会のサイトによれば、ガスファンヒータの点検・交換の目安は約10年、石油ストーブ、石油ファンヒータについては約8年とのことです。
(出典:一般社団法人日本ガス石油機器工業会 「ガス・石油燃焼機器にも寿命があります」

あくまでも目安の年数ではありますが、シーズンの使用開始前に該当の暖房器具を何年使用しているか確認して、点検・交換の目安時期に近づいている、または目安時期を経過している場合には、特に使用中にも異変がないか注意しておくことが大事です。

また、電気ストーブについては、経済産業省が定めた電気用品安全法の「電気用品の技術上の基準を定める省令」に定められた「長期使用製品安全表示制度」の対象製品にはなっておらず、設計上の標準使用期間は定められていないものの、長期使用しているものについては特に使用中の確認をしっかりと行い、異常を感じたら使用を中止して販売店やメーカに連絡する、使用年数に応じては機器の買替えを検討するなどの判断が必要です。

寒い季節に欠かせない暖房器具、今シーズンも安全かつ快適に使用しましょう。

 

【参考情報】

一般社団法人日本ガス石油機器工業会  

 

【参考記事】

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子