正しく使おう!カセットこんろ【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2023年11月2日 10時00分

長かった2023年の夏。やっと秋風が吹き始めたかと思ったら、もう霜月。あっという間に鍋料理の恋しい季節になり、みなさんのご家庭でもカセットこんろが活躍するのではないでしょうか。毎年寒くなる季節の定番のネタではありますが、今回の「RISCAD CloseUP」は、ここ数ヶ月で起きたカセットこんろ関連の事故事例を振り返りつつ、カセットこんろを安全に使用するためにはどのようなことに気をつけるべきかを考えてみようと思います。それでは「正しく使おう!カセットこんろ」スタートです。

カセットこんろ関連の事故〜飲食店などでの事故〜

それではまず、ここ最近、飲食店などで起きたカセットこんろ関連の事故事例を振り返ってみます。どのような事故が起きたのでしょうか。

事例1
2023/8 東京・飲食店でカセットこんろ用ガスボンベが破裂してガス爆発

5階建てのビルの1階の飲食店でカセットこんろ用ガスボンベが破裂してガス爆発が起きた。事故の目撃者が消防に通報した。消防がすぐに消火したが、路上にガラスが飛散するなどした。同店の従業員2名が顔や首にやけどで軽傷を負った。警察と消防の調べでは、同店は営業前の仕込み中で、木炭を鋼製の容器に入れてカセットこんろで加熱していた際に、カセットこんろ用ガスボンベが加熱されて破裂し、漏洩したガスに木炭の火かカセットこんろの火で着火した可能性がある。

事例2
2023/9 愛知・飲食店でカセットこんろ用ガスボンベが破裂してガス爆発

ビルの1階の飲食店でカセットこんろ用ガスボンベが破裂してガス爆発が起きた。通行人が消防に通行した。同店舗のドアが吹き飛んだ。店内には客と店員計10名以上がおり、うち客1名と店員2名が病院に搬送されたが、客1名にけがはなく、店員2名が顔などにやけどで軽傷を負った。警察と消防の調べでは、厨房内の使用中のガスこんろの近くに置かれたカセットこんろ用ガスボンベが加熱され、内圧が上昇して破裂し、ボンベから漏洩した可燃性ガスにこんろの火で着火した可能性がある。カセットこんろ用ガスボンベは七輪に着火するためのバーナに使用されていた。

事例3
2023/9 東京・飲食店でカセットこんろ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発

ビルの2階の飲食店でカセットこんろ用ガスボンベのガス抜き中にガス爆発が起きた。同店の窓ガラスなどが破損して周囲に破片が飛散した。店内には同店の店長と店員、客の計3名がおり、うち客1名と店員1名の計2名がガラスの破片で手を切るなどして軽傷を負った。警察と消防の調べでは、店内で店長がカセットこんろ用ガスボンベ1本のガス抜きをした際に、ボンベから漏洩したLPガスに、麺を茹でる機械の種火で着火した可能性がある。

カセットこんろ関連の事故〜一般住宅などでの事故〜

つぎに、一般住宅などで起きたカセットこんろ関連の事故事例を振り返ってみます。

事例4
2023/8 東京・ビルのベランダでカセットこんろを使用した調理中に爆発、火災

雑居ビルの7階のベランダでカセットこんろを使用した調理中に爆発、火災が起きた。消防車など14台がすぐに消火した。同室の住民1名が負傷した。警察と消防の調べでは、住民がベランダでカセットこんろを使用して煮物の調理中に、カセットこんろ用ガスボンベが何かの原因で加熱されるなどして破裂し、漏洩した可燃性ガスに着火した可能性がある。

事例5
2023/9 広島・アパートでカセットこんろを使用した調理中に爆発、火災

木造2階建てアパートの2階の部屋でカセットこんろを使用した調理中に爆発、火災が起きた。消防車28台が約3時間後に消火したが、同アパート約800平方mが全焼し、隣接するアパートや住宅など5棟に延焼した。火元の部屋の住民1名が全身やけどで中等症を負った。同アパートに入居していた8世帯が避難したが、うち1世帯の住民2名が避難中に転倒して軽傷を負った。付近を走る在来線が一時運転を見合わせた。警察と消防の調べでは、火元の部屋の住民が、カセットこんろの上にプレートを乗せて焼肉を調理中に、カセットこんろ用ガスボンベが加熱されて破裂し、漏洩した可燃性ガスに着火した可能性がある。

事故の特徴

事例を5つあげましたが、事例2はガスボンベを置いた場所に問題があって起きた事故、事例3はガスボンベのガス抜き中に起きた事故で、他の3事例はカセットこんろの使用中に起きた事故です。ここでは、カセットこんろ使用中の事故の3事例について、どのように使用していて事故が起きたのかまとめてみます。

事例1:木炭を鋼製の容器に入れてカセットこんろで加熱していた際に、カセットこんろ用ガスボンベが加熱されて破裂し、漏洩したガスに木炭の火かカセットこんろの火で着火した可能性

事例4:カセットこんろを使用して煮物の調理中に、カセットこんろ用ガスボンベが何かの原因で加熱されるなどして破裂し、漏洩した可燃性ガスに着火した可能性

事例5:カセットこんろの上にプレートを乗せて焼肉を調理中に、カセットこんろ用ガスボンベが加熱されて破裂し、漏洩した可燃性ガスに着火した可能性

このように見てみると、これらの事例で爆発、火災が発生した原因について、「カセットこんろ使用中」に、「加熱されたカセットこんろ用ガスボンベが破裂」し、そしてボンベから「漏洩した可燃性ガスに着火」という流れが見えてくるかと思います。

カセットこんろを正しく使用していれば、ガスボンベが加熱されて破裂するようなことは基本的には起きないはずですが、紹介した事例ではなぜガスボンベが加熱されてしまったのでしょうか。

カセットこんろ使用中にカスボンベが加熱された原因

では、先ほどまとめた事故が発生した際の状況から、カセットこんろ用ガスボンベがなぜ加熱されたか、その原因となった可能性がある使用方法について、状況の推測も含めて考えてみたいと思います。

事例1:木炭を鋼製の容器に入れてカセットこんろで加熱
 木炭の加熱に使用
  →カセットこんろの本来の用途(調理)以外での使用
 鋼製の容器を加熱
  →木炭に着火した後、容器が非常に高い温度になってガスボンベの加熱につながる可能性
  →容器がカセットこんろを覆うような大きさのものであった場合、熱がこもりガスボンベの加熱に
   つながる可能性

事例4:煮物の調理中
 詳細は不明であるが、ガスボンベが加熱される状態で使用していた可能性

事例5:カセットこんろの上にプレートを乗せて焼肉を調理
 カセットこんろ専用のプレートでなかった可能性
  →プレートがカセットこんろを覆うような大きなものであった場合、熱がこもりガスボンベの加熱に
   つながる可能性

カセットこんろを安全に使用するために

カセットこんろを使用する際に注意すべきことは色々がありますが、今回は特に、カセットこんろ使用中のガスボンベ破裂事故を防ぐためにはどのようなことに気をつけたらよいのか考えてみました。事故を防ぐためには、熱がこもってガスボンベが加熱されてしまうような状況での使用はしないように特に気をつけましょう。

  ・こんろを覆うような大きな鍋や鉄板などの調理器具を使用しないこと
  ・こんろを2台以上並べて使用しないこと
  ・調理以外での使用をしないこと

熱がこもってガスボンベが加熱されるような状態で使用しない!
一般社団法人日本ガス石油機器工業会のサイトに、カセットこんろやカセットこんろ用ガスボンベの安全な使用方法についてより詳しくてわかりやすい情報がありますのでぜひ確認してみてください。

【参考情報】