RISCAD Update 2019年11月第3週【週刊化学災害ニュース】

2019/11/08 12:00 – 2019/11/15 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2019年11月20日 10時00分

(現在、RISCADはリニューアルのため公開停止中です)


*2019/11/08発生の、静岡・製紙工場で火災
:工場ではトイレットペーパやティシュペーパの原紙を製造していた。内部にはそれらを含む可燃物が大量にあったため、重機でかき出しながらの消火活動となり、鎮火までに約23時間を要した

*2019/11/10発生の、鳥取・樹脂リサイクル工場で火災
:工場約3,900平方mのうち約2,500mが焼け、樹脂廃棄物が燃えた

*2019/11/12発生の、福島・半導体工場でガス配管清掃中に爆発
:負傷した社員2名でガス配管の清掃作業中に、静電気または何かの原因で着火した可能性

*2019/11/13発生の、山形・ごみ処理施設の不燃ごみ仮置場で火災
:仮置場は廃棄物を最大100t収容でき、出火時は約40tの不燃廃棄物が収容されており、そのうちの約8立方mが焼けた。また、廃棄物中にはスプレー缶やカセットコンロ用ガスボンベ、ライターなどが含まれていた

*2019/11/13発生の、愛知・ごみ処理施設のごみ破砕施設で火災
:市の不燃廃棄物や粗大廃棄物を破砕し、金属を選別して資源化する施設。何かの原因で選別後の破砕廃棄物の運搬に使用されていたベルトコンベアか、その周辺から出火した可能性

*2019/11/14発生の、香川・食用油工場の飼料用サイロで粉塵爆発
:飼料用トウモロコシを保管するサイロでの粉塵爆発。サイロに併設されたトウモロコシ運搬用エレベータ補強のための溶接作業中に出た火花で、トウモロコシの粉塵に着火した可能性

今回お知らせした6件の事故事例のうち、2件はごみ処理施設での事故でした。1件はごみ処理施設の不燃ごみ仮置場での火災。もう1件はごみ処理施設のごみ破砕施設での火災で、ベルトコンベアを起因とした火災の可能性があります。

今回は、前者の不燃ごみ仮置場での火災について、想定を交えて少し詳しく見ていきたいと思います。

火災が起きたのは、一般家庭から出る不燃ごみの仮置場でその容量は100t、火災発生時には約40tの不燃ごみが収容されていたとのことです。

このごみ処理施設を管理・運営する行政事務組合は8つの自治体で構成されており、そのうちの多くは、スプレー缶やカセットコンロ用ガスボンベ、ライターなどを不燃ごみとして回収しているそうです。また、廃棄の際には中身を使い切り、穴を開けるなどしてガス抜きをして捨てるという決まりがあるとのことです。

この仮置場には家電製品などのごみも収容されていたということなので、ある自治体のごみの出し方ルールを見てみると、電気ストーブや炊飯器、小型の扇風機などは、不燃ごみとして捨てることになっているのが確認できました。

このことから、仮置場に積まれた約40tもの不燃ごみには火災発生要素が十分にあったと考えられます。

(想定される原因)
・スプレー缶やカセットコンロ用ガスボンベ、ライターなどでガス抜きがされていない状態で廃棄されたものが混入しており、仮置場内で何かの原因でガスが漏洩し、廃棄物の金属部分同士の摩擦などで出た火花で着火する可能性
・家電製品に電池類が入ったままになっており、何かの衝撃を受けて発火する可能性
(参照:RISCAD CloseUP-リチウムイオン二次電池の廃棄に関する事故

火災が発生すれば、家電製品の樹脂部品などに延焼して被害が拡大し、積まれたごみの中で火がくすぶって消火に時間がかかるといったことが起き得ます。ごみ処理場で火災が起きると、ごみの受け入れが停止されることがあります。また、設備等が損傷すると、修繕等には莫大な費用がかかる可能性があります。

今回の火災の原因はまだはっきりしていませんが、自治体も捨てる側の私たちも、ごみ収集のルール、出し方のルールを再検討したほうが良さそうなケースがありそうです。

【関連記事】
再確認してください!スプレー缶の処分方法【注目の化学災害ニュース】2017年8月のニュースから RISCAD Close UP
RISCAD Update 2018年6月第2週【週刊化学災害ニュース
スプレー缶に関連する事故【注目の化学災害ニュース】2018年12月のニュースから RISCAD CloseUP
リチウムイオン二次電池の廃棄に関する事故【注目の化学災害ニュース】2019年10月のニュースから RISCAD Close UP
さんぽニュース編集員 伊藤貴子