活動内容
Scope3算定ツールの提供
近年、世界ではカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP:機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクト)をはじめ、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量であるScope3(製造、輸送、出張、通勤等)のデータを管理し、情報を開示することが求められてきています。そこでLCA活用推進コンソーシアムでは、企業の皆様がこうしたニーズに対応できるようScope3の算定ツールを提供します。
コンソーシアムの活動予定
コンソーシアムの活動実績
●Scope3算定ツールの提供(Ver.3.3対応版)(2023年4月)
●Scope3算定ツールの提供(Ver.3.2対応版)(2022年4月)
●Scope3算定ツールの提供(Ver.3.1対応版)(2021年9月)
●Scope3算定ツールの提供(Ver.2.3対応版)(2020年7月)
Scope3とは
▶サプライチェーン排出量とScope3排出量
事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量、すなわち、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量のことをサプライチェーン排出量と言います。サプライチェーン排出量は、Scope1、Scope2、Scope3の排出量の総和です。
サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
Scope3、15のカテゴリー分類
世界環境経済人協議会(WBCSD)と世界資源研究所(WRI)によって設立されたGHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)では、Scope3を以下の15のカテゴリーに分類しています。
Scope3カテゴリー | 該当する活動(例) | |
---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達 |
2 | 資本財 | 生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上) |
3 | Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動 | 調達している燃料の上流工程(採掘、精製等) 調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等) |
4 | 輸送、配送(上流) | 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主) |
5 | 事業から出る廃棄物 | 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理 |
6 | 出張 | 従業員の出張 |
7 | 雇用者の通勤 | 従業員の通勤 |
8 | リース資産(上流) | 自社が賃借しているリース資産の稼働 (算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半) |
9 | 輸送、配送(下流) | 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売 |
10 | 販売した製品の加工 | 事業者による中間製品の加工 |
11 | 販売した製品の使用 | 使用者による製品の使用 |
12 | 販売した製品の廃棄 | 使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理 |
13 | リース資産(下流) | 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働 |
14 | フランチャイズ | 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動 |
15 | 投資 | 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用 |
その他(任意) | 従業員や消費者の日常生活 |
※1 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を任意算定対象としている。
※2 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を算定対象外としているが、算定してもよい。
▶サプライチェーン排出量を算定するメリット
- 削減対象の特定/削減意識の啓発
サプライチェーン排出量の全体像(総排出量、排出源ごとの排出割合)を把握することで、優先的に削減すべき対象を特定できます。その特徴から長期的な環境負荷削減戦略や事業戦略策定のヒントを導きだすこともできます。 - 他事業者との連携による削減
サプライチェーン上の他事業者と環境活動における連携が強化し、環境負荷低減施策の選択肢が増え、CO2削減が進みます。また、CSR活動の一貫としてサプライチェーン排出量算定を要請する企業もあるため、新規顧客開拓へも繋がります。 - 情報開示
企業の情報開示の一環として、サプライチェーン排出量を統合報告書、WEBサイトなどに掲載することで、環境対応企業としての企業価値を明確にすることができます。サプライチェーン排出量の把握・管理は一つの正式な評価基準として国内外で注目を集めており、グローバルにおいても、投資家等のステークホルダーへの社会的信頼性向上に繋がり、ビジネスチャンスの拡大が期待されています。
*参照 環境省グリーンバリューチェーンプラットフォーム,<入手先http://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/index.html>,(参照2021-04-27)
Scope3とIDEAとの関係
IDEAは、Scope3を算定するために必要な排出原単位のデータを提供しています。現在、環境省グリーンバリューチェーンプラットフォーム上で、Scope3を算定するために必要な排出原単位のデータベース(環境省DB)が公開されていますが、IDEAは、最新版の環境省DBの中で多く引用されています。
