IDEAの概要

IDEA海外版の開発

• IDEA海外版の開発

IDEAは主として日本国内の製品・サービスに由来する環境負荷を算定しているため、日本国外の環境負荷の算定には不向きです。
同一の製品であっても、その製品の製造/使用/廃棄の各段階に投入される各エネルギーや各原材料の環境負荷量が国によって異なるため、結果として製品のライフサイクルに由来する環境負荷量に大きな差が生じることがあります。製品等のLCAを詳細に検討するためには、各国のバックグラウンドデータベースの構築が必要不可欠です。以下に、電力、上水道/工業用水道および水酸化ナトリウムについて、日本と中国の単位当たりのCO2排出量を比較した例を示します。

日本と中国の単位当たりのCO2 排出量の比較例

海外のインベントリデータベースは、先進国や新興国などでは開発されつつありますが、途上国ではその開発が進まず完成までに時間がかかると考えられます。そして、すべての製品を網羅的に整備しているIDEAのようなインベントリデータベースは先進国においても存在しません。途上国も含めたすべての国が、すべての製品の単位プロセスデータセットを完成させるまでには相当な時間がかかり、また我々がすべての国におけるすべての生産(製造)プロセスを調査し、単位プロセスデータセットを作成するにも膨大な手間がかかります。
そこで、日本で生産(製造)されるすべての製品の単位プロセスデータセットを格納しているIDEAを基に、可能な限り高い精度でIDEA 海外版を開発しました。
IDEA海外版は、対象国から原材料や製品を輸入している場合や、対象国に製造拠点がある場合、対象国の実態を反映した環境負荷量を算出することができます。また、企業が今後の海外展開を検討する際に、環境面に関する判断材料を提供することができます。

• IDEA海外版の構築手法

IDEA海外版は、以下の図に示す3つの項目についてIDEAからデータを置換することで構築しています。

IDEA海外版の入出力データの置換

参考として、IDEA Ver.3.3海外版におけるIDEA製品コード別の②燃焼用燃料別消費量構成比、③燃焼効率の置換状況について、以下Excelファイルでご確認いただけます。Excelファイルの内、IDEA製品コード、IDEA製品名の末尾の「***(アスタリスク)」には世界平均または対象国の国コードが入ります。
①当該プロセスへ入出力される中間フローの上流連鎖先は、燃焼用燃料以外の上流連鎖先については世界平均(GLO)または対象国に置換しているので、Excelファイルには①の列を設けておりません。

また、IDEA海外版に格納している日本(JPN)以外の対象国のデータは、対象国内での製造を対象としたデータとなっており、対象国が他国から輸入している場合、他国における製造は対象としておりません。

• IDEA海外版の開発状況

IDEA 海外版は、IDEA Ver.2において2020年5月に初めて作成されました。IDEA Ver.2海外版では、世界平均(GLO)、海外12か国および日本(JPN)を対象としたデータベースを構築しました。
2022年11月にリリースされたIDEA Ver.3.2 海外版では、世界平均(GLO)、海外2か国(中国(CHN)およびインドネシア(IDN))および日本(JPN)を対象としたデータベースを構築しました。
2023年12月にリリースされたIDEA Ver.3.3 海外版では、世界平均(GLO)、海外18か国および日本(JPN)を対象としたデータベースを構築しました。

IDEA海外版の対象国