欧州委員会(European Commission; EU )をはじめとする世界各国では、ライフサイクル思考(製品やサービスにかかわる採掘、デザイン、製造、使用、リサイクル又は廃棄、及びそれらの影響全般を考慮する思考)に基づいた産業技術の環境政策が進められています。これらの政策を実施する基盤として、全ての製品の環境負荷・原単位などの総合的なデータベースであるライフサイクルインベントリデータベースの役割が非常に大きくなっています。そうした背景の中、国連環境計画(United Nations Environment Programme; UNEP )を中心に世界の14ヶ国が参加してライフサイクルインベントリデータベースの国際的なネットワーク化と相互利用を目的とした“グローバルLCAデータアクセスネットワーク(Global LCA Data Access network; GLAD)”が設立され国際連携が活発化されています。
産総研が開発を行っているライフサイクルインベントリデータベースであるIDEAは、日本の代表としてGLADに参加することとなりました。また、これらの活動と同時に、韓国、タイをはじめとしたアジア地域では、IDEAのデータ作成方法を自国で展開する国際連携も始まっています。IDEAラボは上記の目標を達成するために更なる国際連携を目指します。
加えて、研究現場において、研究開発中の技術の環境適合性をライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment; LCA)によって評価しておくニーズが高まっており、企業や産総研内の新材料や新技術開発現場から、特にインベントリデータ作成を伴う環境負荷分析の共同提案や共同実施の申し込みが多くなっています。LCA研究者と新技術の開発者が早い段階より協同してLCAに取り組むことで、IDEAそのものの精度向上のみならず、新技術開発へのLCAのフィードバックやLCA視点を含めた技術の橋渡しなどを目指します。