RISCAD Update 2023年6月第2週【週刊化学災害ニュース】

2023/6/2 12:00 – 2023/6/8 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2023年6月14日 10時00分



*2023/5/24発生の、福岡・専門学校でバーベキューに消毒用エタノールを使用して火災

:学校主催のバーベキューで、燃焼を促進するために教員が燃料に手指消毒用のエタノールが混ぜられたことで火災が発生。学生4名が衣服などに着火してやけどを負って病院に搬送された。うち1名は全身やけどで重傷となり、13日後に死亡した

*2023/6/1発生の、福岡・製鉄所の解体中のプラントで火災

:出火時、解体作業は行われていなかった。同蒸発塔では、3日前に解体作業中に火災が起きていた

*2023/6/5発生の、愛知・塗料会社の樹脂工場で火災

:産業用塗料を製造する会社の樹脂工場での火災。工場の一部が焼けた

*2023/6/5発生の、新潟・図書館の地下でトイレ配管の洗浄作業中に酸欠

:図書館内のマンホールから地下に降りてトイレの配管の洗浄作業をしていた際に起きた酸欠事故。作業員2名が意識不明の重体で病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。現場から可燃性ガスなどは検知されず、酸素濃度が低かったことから、酸素欠乏が起きた可能性

*2023/6/6発生の、富山・産業機械工場で火災

:工場2棟を繋ぐベルトコンベアの一部が焼けた。工場では砂の鋳型を製造しており、ベルトコンベアで高温の砂を運搬していた

*2023/6/8発生の、北海道・コーヒー工場で焙煎中に火災

:コーヒー豆の焙煎中にコーヒー豆に着火し、焙煎機やダクトなどに延焼した可能性


上記5/24発生の、福岡の専門学校での学校主催のバーベキュー中の火災ですが、やけどを負った学生4名のうち、重傷であった1名が亡くなるという痛ましい事故となりました。

ドラム缶を使用したバーベキューで、燃料には炭が使用され、着火剤を使用していたところに、燃焼を促進するために手指消毒用のエタノールが混ぜられていたとのことです。

火災の直接の原因は、使用していたドラム缶12台のうち1台の火が消えたため、そこに教員が消毒用エタノールを追加したことのようです。

燃焼促進のためと考えたのでしょうか、教員が引火性液体である消毒用エタノールをドラム缶に追加したことで、エタノールに着火して激しく燃焼したようです。ここで使用された消毒用エタノールのアルコール度数は不明ですが、激しく燃焼したということから、それなりの度数であったと推察されます。

消毒用エタノールについては、これまで「さんぽのひろば」で、新型コロナウイルスの流行以降に身近になったものとして何度か取り上げてきました。

一時は品薄で入手困難となったこともあった消毒用エタノールですが、新型コロナウイルスの流行が落ち着いたことで在庫に余剰があるとしても、誤った消費や廃棄をしないようにしましょう。

【参考記事】