RISCAD Update 2022年11月第5週-12月第1週【週刊化学災害ニュース】
2022/11/11 12:00 – 2022/12/02 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年12月07日 10時00分
:シャッタが閉められ施錠されていた車庫約270平方mが全焼。車庫には、捜査車両が駐車されていたほか、事故の検分のための車両などが保管されており、また、鑑識や検死を行う場所もあった
:金属製品や建築資材、衣料品などを扱う工場での火災。工場1階で規定に違反して行われた電気溶接が出火の原因となり、2階の工場の綿製品に延焼して2階にいた従業員が逃げ遅れた可能性。工場の作業員38名が死亡し、2名が軽傷
:孵化場1棟約820平方mが全焼し、鶏卵約50万個が焼けた。エアコン付近から出火した可能性
:授業中の複数の児童が硫黄のような異臭で体調不良となり、救急車など16台が出動して児童22名を病院に搬送したが、全員軽症。異臭がした校舎やその周辺をガス検知器などで調査したが、ガスは検出されなかった
:店舗では魚の餌や、養殖魚に寄生虫がつくのを予防するための消毒用の過酸化水素水を販売していた。火災の熱により過酸化水素水が急激に分解した可能性があり、消火中の消防士と消防団員計15名がやけどなどで負傷し、うち2名が病院に搬送された。ほか、販売店の社長1名がのどのやけどで病院に搬送された
:産業用換気扇やハンドドライヤなどを製造する工場の塗装工場での火災。ロボットによる換気扇の金属部分へのポリエステル粉末の吹付塗装作業後に集塵機から出火した可能性
シャッタが閉まった車庫での火災であることから、当初から不審火の可能性は低いとされていましたが、その後の調べで、車庫内に保管されていたリチウムイオン電池から出火した可能性があることが判明したようです。
火災が起きた車庫内の出火元とみられる部屋から単3電池ほどの大きさのリチウムイオン電池が3本見つかり、うち2本には破裂したような形跡があったということです。
車庫内には捜査車両が駐車されていたほか、事故の検分のための車両などが保管されていたとのことですが、他にも、交通事故に関する証拠品などが保管されていたとのことで、リチウムイオン電池は、それら証拠品などのうちの何かに内蔵されていた可能性があるようです。また、そのリチウムイオン電池との関連は不明ですが、証拠品の中にはリチウムイオン電池を使用するモバイルバッテリが含まれていたとの情報があるようです。
現代において、リチウムイオン電池が内蔵されたものはわたしたちの身の回りに必ずいくつかはあるものではないでしょうか。例えば、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンにモバイルバッテリ、簡単に思いつくだけでもこれだけあります。他にも、充電して使用できるものにはリチウムイオン電池が搭載されている可能性は高いかと思われます。
単3電池ほどの小さなリチウムイオン電池2本からの出火がきっかけで、約270平方mの車庫1棟が全焼してしまうことがあると考えると、その扱いには十分注意したいものです。
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さんぽニュース編集員 伊藤貴子