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    安全科学研究部門長 蒲生 昌志

    2024年4月1日付けで、安全科学研究部門の研究部門長を拝命しました。化学物質やナノ材料のリスク評価やリスクトレードオフ評価に関する研究を行ってきました。

    安全科学研究部門(Research Institute of Science for Safety and Sustainability)は、化学物質リスク評価、フィジカルリスク評価、ライフサイクル評価(LCA)などの評価技術を研究の基盤として、経済成長と環境保全、産業保安の両立を図り、安全で持続的発展可能な社会の実現に貢献することをミッションにしています。

    部門の設立は2008年4月であり、産総研の中でも最古参のユニットの1つです。しかしながら、最近では安全(safety)と持続可能性(sustainability)が一体として論じられる場面が増えており、部門の志は古びるどころか、ますます必要とされるようになってきていると感じています。例えば、温暖化対策としての水素やアンモニアの利活用を推進するには、持続可能性の観点からの検討のみならず、安全性を担保する方策の検討が不可欠です。また、2023年に構築された「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)」では、化学物質のライフサイクル全体に対して、多様な分野の多様なステークホルダーが取り組むこととされています。サーキュラーエコノミーの実現に向けても、持続可能性に加えて安全性に関する評価も必要とされています。

    一方、持続可能性、化学物質管理、サーキュラーエコノミーなど、安全科学研究部門が関わるいくつもの分野で、このところ欧州など国外の動きが速く、我が国においても議論の充実が急務となっています。安全科学研究部門は、産業界との連携や行政とのコミュニケーションを密にしながら、産学官連携の要として、意思決定に資する科学的エビデンスの創出のための評価の実践と評価技術の開発に努めてまいります。

    安全科学研究部門長
    蒲生 昌志