リスク数理解析研究グループ
リスク数理解析研究グループ

研究職員:7名
林 彬勒、石川 百合子 秦 寛夫 Vazquez Santiago Jairo 近藤 萌波
契約職員等:8 名
概要
人や生態系への化学物質のリスクを評価するうえで重要な、環境暴露・リスクに係るモデリング技術の開発を行っています。これらの技術により、実測データがなくても暴露量やリスクの推定が可能になり、また、効果的なリスク削減の提案を行うことが可能になります。新規物質を含む多種の化学物質リスク評価に対応するため、衛星データの活用や、数理的手法に基づく環境中運命に関するパラメータ推定など、リスク評価の迅速化・効率化に資する研究も行っています。環境・エネルギーに関する施策や技術の評価を一手に引き受け、政府や企業の合理的な意思決定に貢献することが目標です。
研究内容
暴露評価ツールの開発
ADMER/ADMER-PRO(大気モデル)
- 化学物質の大気中濃度や沈着量等を空間的、時間的に詳細な解像度で推定
- 計算に必要な気象等の基礎データを内蔵し、容易に濃度分布や削減効果を推定可能
![]() 大気中濃度分布の表示例 |
SHANEL(河川水系暴露解析モデル)
- 全国河川の化学物質の濃度分布や時間変化の推定による便益推計までをも一貫して行っている
- 産業や生活、事故で流出した化学物質の暴露評価
- 河川流域データを内蔵
- 海洋生分解性プラスチックに適用するため改良中
![]() 河川水濃度分布の表示例 |
RAM-TB(東京湾リスク評価モデル)
- 沿岸域での化学物質の環境水中濃度の時空間的解析
- 河川、海岸、大気からの負荷の生態リスク評価
- 対象海域の物理量と生態系データを内蔵
- 海洋生分解性プラスチックに適用するため改良中
![]() 東京湾内濃度分布の表示例 |
環境リスク・リスクトレードオフ評価手法開発
化学物質生態リスク評価ツール(AIST-MeRAM)の開発
化審法実務支援や混合物評価ツールへの進化、搭載DBを活用した有害性補完手法の開発を行なってます。
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窒素循環および関連技術の環境リスクトレードオフ評価
プロセスベース窒素循環モデル開発、バイオマスやアンモニア水素の環境リスクトレードオフ評価を研究してます。
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化学動力学・大気質モデルによる大気環境モデリング
大気化学反応メカニズムの解明とリスク評価
- 光化学実験や量子化学計算で未知の化学反応の反応速度定数を算出
- 得られた速度定数を領域・全球大気質モデルに組み込んでモデルの精度向上
- 領域・全球大気質モデルによる、次世代技術(電気自動車・窒素循環技術 etc.)を導入した場合の人の健康リスクを評価
![]() 新たな化学反応のPM2.5濃度への寄与 |
データ駆動型アプローチによる大気質評価
持続可能性の推進に向けた大気汚染ダイナミクスの解明
- 衛星観測および地上観測データを統合し、大気汚染物質の空間
- 時間パターンを解析・統計解析モデルを構築し、汚染物質の変動要因の特定と大気質予測を実施
- データ駆動型の知見により、科学的根拠に基づく環境政策と持続可能な社会の実現を支援
![]() 2024年における二酸化窒素(NO₂)の全球分布と3地域における長期傾向 |
土壌-大気間の物質輸送予測
揮発性の高い化学物質の輸送現象解明に特化したモデル
- 地表面での吸入暴露を想定
- 汚染土壌中の化学物質が揮発により大気へ排出される現象をモデリング
- 土壌から大気への物質排出に対する降雨や気圧・気温変化の影響を考慮
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研究紹介