環境暴露モデリンググループ
環境暴露モデリンググループ
研究職員:6名
林 彬勒、石川 百合子 竹下 潤一 秦 寛夫 近藤 萌波
契約職員等:11名
概要
人や生態系への化学物質のリスクを評価するうえで重要な、環境暴露・リスクに係るモデリング技術の開発を行っています。これらの技術により、実測データがなくても暴露量やリスクの推定が可能になり、また、効果的なリスク削減の提案を行うことが可能になります。新規物質を含む多種の化学物質リスク評価に対応するため、それらの迅速化・効率化に資する有害性評価手法の開発やAIを用いたシステム最適化に関する研究、さらには、化学動力学的手法を用いた環境中運命に関するメカニズム解明の研究も行っています。環境・エネルギーに関する施策や技術の評価を一手に引き受け、政府や企業の合理的な意思決定に貢献することが目標です。
研究内容
暴露評価ツールの開発
ADMER/ADMER-PRO(大気モデル)
- 化学物質の大気中濃度や沈着量等を空間的、時間的に詳細な解像度で推定
- 計算に必要な気象等の基礎データを内蔵し、容易に濃度分布や削減効果を推定可能
大気中濃度分布の表示例 |
SHANEL(河川水系暴露解析モデル)
- 全国河川の化学物質の濃度分布や時間変化の推定による便益推計までをも一貫して行っている
- 産業や生活、事故で流出した化学物質の暴露評価
- 河川流域データを内蔵
- 海洋生分解性プラスチックに適用するため改良中
河川水濃度分布の表示例 |
RAM-TB(東京湾リスク評価モデル)
- 沿岸域での化学物質の環境水中濃度の時空間的解析
- 河川、海岸、大気からの負荷の生態リスク評価
- 対象海域の物理量と生態系データを内蔵
- 海洋生分解性プラスチックに適用するため改良中
東京湾内濃度分布の表示例 |
環境リスク・リスクトレードオフ評価手法開発
化学物質生態リスク評価ツール(AIST-MeRAM)の開発
化審法実務支援や混合物評価ツールへの進化、搭載DBを活用した有害性補完手法の開発を行なってます。
窒素循環および関連技術の環境リスクトレードオフ評価
プロセスベース窒素循環モデル開発、バイオマスやアンモニア水素の環境リスクトレードオフ評価を研究してます。
化学動力学・大気質モデルによる大気環境モデリング
大気化学反応メカニズムの解明とリスク評価
- 光化学実験や量子化学計算で未知の化学反応の反応速度定数を算出
- 得られた速度定数を領域・全球大気質モデルに組み込んでモデルの精度向上
- 領域・全球大気質モデルによる、次世代技術(電気自動車・窒素循環技術 etc.)を導入した場合の人の健康リスクを評価
新たな化学反応のPM2.5濃度への寄与 |
リスク評価の合理化に資する数理科学的手法
- ヒト健康リスク評価の迅速化・効率化に資する有害性推論手法の開発
- 測定方法の精度評価のための統計的解析手法の開発
- ISO/TC 69(統計的方法の適用)における国際標準化活動
ISO/TC 69総会の様子 |
東京湾内濃度分布の表示例 |
測定方法の精度に関する概念のコンセプトダイアグラム(出典:JIS Z 8102-2:2015 図B.15)
複数AIを組合せた革新的実験計画法
枠組みにAIの手法を組合せた革新的実験計画法により、必要最小限の実験データから、簡易に多入力多目的システムを最適化することが可能になります。本手法により、製品設計、製造プロセスなど、広い分野の研究開発の効率化とDXを支援します。
革新的実験計画法による人工心臓(動圧浮上遠心血液ポンプ)のデザイン最適化
(日本品質管理学会第122回研究発表会要旨集98ページ図2、99ページ図3を改変)
研究紹介