爆発利用・産業保安研究グループ
爆発利用・産業保安研究グループ
研究職員:6名
椎名 拡海 牧野 良次 松木 亮 高橋 良尭 朝原 誠※
※クロスアポイントメント制度
契約職員等:12名
概要
水素などの可燃性ガスや新規冷媒、火薬類などのエネルギーを有する物質の優れた特性を利用するためには、エネルギーを適切に制御する技術によって事故の発生を防止し、また、万が一の事故の際に被害を低減させる技術によって安全性を確保しながら活用する必要があります。さらに事故から学び、得られた教訓を生かして安全管理を向上させることも重要です。このため、当グループでは、1)高圧ガスなどの安全利用、2)火薬類の安全利用、3)産業保安に関する研究を通して、高エネルギー物質の安全利用技術開発や産業保安の高度化を推進し、燃焼・爆発安全に係る行政・社会の要請に応える研究を行います。
研究内容
高圧ガスなどの安全利用
水素や新規冷媒などの高圧ガス・可燃性ガスを利用した新技術を支える安全性評価技術を発展させて、自主的に管理された産業保安技術による安全・安心な社会の実現を目指す。
水素関連評価研究
水素利活用拡大のための評価研究:水素パイプライン供給システムの安全性評価
パイプラインからの水素漏洩のリスクとハザードを評価
- 漏えい拡散挙動
- 着火時の爆発影響評価
- 損傷挙動評価
坑内漏えい着火における火炎撮影
(出典: H29年度経済産業省「水素導管供給システムの安全性評価事業(水素導管の大規模損傷リスク評価)」報告書)
冷媒関連評価研究
地球温暖化係数が低く次世代の冷媒として期待される自然冷媒のプロパンを家庭用エアコンや業務用ショーケース等に用いた場合の事故影響評価
- 実規模実験による調査
対策を行わない場合の着火事故影響を評価し、安全性の確認や最大許容充てん量の抑制、機器類の送風機能による撹拌等の安全対策による万が一の事故影響の低減化を検証
模擬室内自然冷媒漏洩着火実験
(出典:NEDO事業「実使用条件を考慮した自然冷媒使用冷凍空調機器の燃焼に係る実規模フィジカルハザード評価」中間年報)
化学反応モデルによる燃焼評価研究
- 化学反応モデルによりガスの燃焼性を予測
- 可燃性ガス
- 含フッ素化合物
- 支燃性ガス
- 高温反応実験と反応モデルによる数値シミュレーションを用いた燃焼特性の評価
高温反応実験のための化学衝撃波管装置
火薬類の安全利用
各種制御発破技術の開発
制御発破:
火薬類等を利用して目的とする箇所だけを迅速に破壊する技術
ミニブラスティング:
都市部でも適用可能な従来の発破よりも小量の火薬類を用いた小規模発破技術
<応用例>
- 都市部の老朽化した建築構造物の部分修復技術の開発
- 大規模災害時の倒壊した建物からの人命救助への応用(ブリーチング技術)
迅速かつ低環境負荷(振動・騒音・飛散物)の発破技術実現に向けた基礎研究
→DIC(画像相関法)等の光学的観測やCFD等の数値シミュレーション技術に基づいた火薬類の爆発や破壊現象の解明
ミニブラスティング応用例
大規模災害時の倒壊した建物から要救助者救出用口を作成
要救助者側には飛散物が発生しないように壁を破壊し安全かつ迅速な救助を実現
爆薬を用いた材料の簡易Hugoniot評価手法の開発
爆薬により材料中に発生した衝撃波の可視化画像と圧力ゲージを用いた衝撃圧計測結果による材料の簡易Hugoniot評価方法の開発
爆薬によりアクリル中に発生した衝撃波の可視化画像
産業保安に関する研究
防爆ドローンの要件に関するガイドライン
プラント内におけるドローンの利用ニーズが高まっているが、法により危険区域で活用することができない
防爆ドローンの開発・実装に繋げるため、取り組むべき課題や性能仕様の考え方を記載したガイドラインを整理
(令和2年度経済産業省委託事業 防爆ドローンの要件に関するガイドラインや仕様設計等の調査)
安全対策の経済的評価手法の開発
企業が労働災害防止対策費の持続的投入を進めていくためには費用投入の重要性の根拠とその効果を示していく必要がある
企業が自社の労働災害防止対策の経済的評価を 事前にかつ簡便に実施できるよう支援する方法論とツールを開発した
(中央労働災害防止協会 安全対策の経済的評価に関する調査研究)
https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202303_01.pdf |
研究紹介