海洋鉱物資源開発に向けたレアアース泥揚泥技術:200 m級の揚泥実験による実証
緒方雄二(安全科学研究部門)
【背景・経緯】
深海底に存在するレアース泥をエアリフトポンプを用いて揚泥する技術を開発するために、実験及び数値シミュレーションを通じた技術開発を実施しています。200m級の揚泥実験を実施し、要素技術の基礎的な知見を得ることを目的として、実験結果と数値シミュレーションにより気液二相流の詳細を解明し、レアアース泥水の揚泥特性を解明します。最終的には、揚泥性能評価システムを開発することで、6000m級の深海底レアアース資源開発の資することを目的としています。
【2019年度の取組みと成果】
2019年度は、200m揚鉱管を用いた空気・水の二層流と空気・水・固体の三層流の流動特性を空気導入量等から明らかにしました。また、超音波を用いて三層流の流動状況を可視化することで、揚鉱管の脈動特性を明らかにしました。具体的には、200m立型水槽内に設置された200m級エアリフトポンプシステムで、異なる4箇所の気泡導入位置に対して浸液率を変化させた導入空気量と揚泥量に関する実験を実施してデータを取得しました。200m級の揚泥システムを用いた揚泥実験から模擬泥の揚鉱が可能であることが実証されました。この実験結果は、数値シミュレーションによる気液二相流の詳細解明と合わせてレアアース泥水の揚泥特性を解明することで、実規模の6000m級のレアアース泥の揚鉱の数値シミュレーションへ適用を検討する基礎資料となります。
【成果の意義・今後の展開】
今後は、200m 級の大規模なエアリフトポンプ揚泥実験を行うことにより、これまで開発を進めて来たレアアース泥水用のエアリフトポンプシミュレータによる揚泥量推定に関して、実験結果との比較による検証を行うとともに、将来の 1000m超級及び6000m級の実証実験に向けて、揚泥性能を評価するためのシミュレータの開発を進めます。
※ 平成31年度海洋鉱物資源開発に向けた資源量評価・生産技術等調査に係るレアアース泥揚泥技術開発調査に関する研究として、東京大学との共同研究として実施しました。
図 200m級立型水槽概要
2020年07月15日