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  • コンクリートの放電破砕メカニズムの解明に向けた圧力の測定および可視化
  • コンクリートの放電破砕メカニズムの解明に向けた圧力の測定および可視化

    高橋良尭(爆発利用・産業保安研究グループ )

    • 久保田士郎(爆発利用・産業保安研究グループ)
    • 佐分利禎(爆発利用・産業保安研究グループ)
    • 緒方雄二(安全科学研究部門)

    【背景・経緯】

    高度経済成長期、日本では都市部において高速道路やビル等のコンクリート構造物が多数建設されましたが、現在これらの老朽化が一つの問題となっています。老朽化した箇所は一旦解体し、改修する工事が進められていますが、都市部は過密化に伴い重機作業が困難であり、また、多く構造物が耐震設計であるなどの理由から、特に解体作業に時間を要しているという問題点があります。本問題点を解決するための手段と一つとして都市部における発破技術の適用が考えられています。そこで我々は2019年から自己反応溶液に高電圧を加えることで瞬間的に大きな力を発生させ、コンクリートや岩盤等を素早く・効果的に破砕する放電破砕技術に関して共同研究を進めています。

     

    【2019年度の取組みと成果】

    放電破砕技術は通常の発破と大きく異なり、使用する自己反応溶液が火薬取締法において火薬に分類されておらず規制を受けないというメリットがあります。しかしながら高圧放電後の自己反応溶液反応後の現象については未解明な点が多いのが現状です。研究初年度の2019年度は、放電後の自己反応溶液の挙動を明らかにすることを目的に、発生する圧力の測定実験を実施しました。図に示すように金属管内部に入れた自己反応溶液を放電し、直下に設置したアクリル板で挟んだ圧力ゲージによって発生する圧力の測定、同時にその様子を高速度カメラで撮影しました。その結果、自己反応溶液の反応開始し、圧力が上昇し始める時刻、ピーク圧やピークに至るまでの時間を明らかにするとともに、圧力が発生する様子を可視化することに成功しました。

     

    【成果の意義・今後の展開】

    高圧放電後の自己反応溶液反応後の、圧力発生挙動等の現象の解明は数値シミュレーションへの応用や、現場における安全な設計へ活用が見込まれ、都市部での発破技術適用の促進が期待されます。今後は、より実作業現場に近い環境で実験を行い、自己反応溶液放電後のコンクリートの変形挙動の可視化などに取り組んでいく予定です。

    ※ 本プロジェクトは三井住友建設(株)との共同研究「コンクリート材料の放電破砕メカニズムに関する研究」により実施しました。関係者の皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

     

    図 圧力測定・可視化試験の実験系

    2020年07月14日