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  • 2024年度火薬類保安技術実験(野外実験)
  • 2024年度火薬類保安技術実験(野外実験)

    松村知治(爆発安全研究グループ)

    • 久保田士郎(爆発安全研究グループ)
    • 岡田賢(爆発安全研究グループ)
    • 杉山勇太(爆発安全研究グループ)
    • 佐分利禎(爆発利用・産業保安研究グループ)
    • 牧野良次(爆発利用・産業保安研究グループ)
    • 高橋良尭(爆発利用・産業保安研究グループ)

    【背景・経緯】
     経済産業省は、通商産業省時代の1961年から各地の陸上自衛隊演習場を借用して、火薬類の大規模な爆発実験(火薬類保安技術実験、以下、野外実験)を実施しています。野外実験で得られた成果は、法令の改正や保安行政上の指導のための資料として活用されています。産総研は、この実験に第1回目(国立研究所時代)から継続して参加・協力し、実験計画の立案、実験データの計測・評価と報告書の執筆、技術基準案の検討に携わっています。
     火薬類の貯蔵施設である火薬庫など火薬類関連施設は、十分な保安距離が確保された安全な場所に設置されますが、近年、立地後の周辺環境の変化(住宅地等の拡大)に伴い、保安距離と貯蔵量の削減が求められています。早急な課題解決が必要です。

     

    【成果】
     火薬庫等と保安物件との間に丘や山がある想定で、傾斜角30度の二等辺三角形を地形断面とする模擬地形(高さ2.5 m、底辺8.66 m、幅15 m)を構築し、含水爆薬0.625 kg、5 kg、9.77 kg、40 kgを用いて全4回の爆発実験を行い(図)、模擬地形による爆風の減衰状況を計測1)しました。火薬庫等の実規模を40トンとすると、本実験のスケールは爆薬量に応じて、それぞれ1/40、1/20、1/16、1/10に、また模擬地形の実高さは100 m、50 m、40 m、25 mです。
     本実験により、模擬地形(傾斜角30度)の実高さと爆風圧低減効果に関するデータが得られました。地形がない基準爆風との比率で低減効果を表すと、実高さ(100 m、50 m、40 m、25 m)の模擬地形により、換算距離16 m/kg1/3(第一種保安物件の保安距離に相当)のピーク静水過圧はそれぞれ52%、71%、78%、76%に、正圧相インパルスは66%、84%、89%、98%に低減しました。

     

    図 高速度撮影画像の例(左:t = 1 ms、中:t = 2 ms、右:t = 5 ms)
    ※ 実験No.1-1 (EMX2;0.625kg, カメラボックス2から撮影)

     

    【成果の意義・今後の展開】
     2024年度は、傾斜角30度、高さ2,5 mの模擬地形で爆風低減効果を検討しました。引き続き、模擬地形の傾斜角や高さと爆風減衰率との関係、斜面を乗り越えた爆風が地面で反射する影響等に関するデータ・知見を蓄積することで、今後、実規模の火薬類関連施設が、万が一爆発した場合の地形による爆風圧低減効果を推定できる可能性があります。
     そう遠くない将来、行政が適切な保安距離・貯蔵量を判断する際に、本研究の成果が有効活用されるよう期待します。
     

    ※本研究は、経済産業省、防衛省、公益社団法人全国火薬類保安協会、公益社団法人日本煙火協会、日本火薬工業会、その他関係機関・団体のご協力を得て実施しました。ここに付記し、感謝申し上げます。
     

    【文献】
    1) 全国火薬類保安協会、令和6年度火薬類爆発影響低減化技術基準検討事業報告書 (2025).

    2026年06月03日