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  • リチウムイオン電池発火時に発生するガスおよび粉塵の評価
  • リチウムイオン電池発火時に発生するガスおよび粉塵の評価

    野村和哉(爆発安全研究グループ)

    • 柴田強(爆発安全研究グループ)
    • 岡田賢(爆発安全研究グループ)
    • 岡垣淳(省エネルギー技術研究部門)
    • 齋藤喜康(省エネルギー技術研究部門)

    【背景・経緯】
     近年、リチウムイオン電池は幅広い用途で使われ、私たちの暮らしを支える重要な技術となっています。一方で、リチウムイオン電池に起因した発火事故も増加しており社会課題となっています。リチウムイオン電池には様々な化学物質が使われているため、発火時の現象は複雑であり、発生する有毒ガスを把握することや、実験的な根拠に基づいて消火方法を確立することが求められています。
     当グループでは、爆発・燃焼実験の知見と設備を生かし、産総研内の電池の専門家と連携してリチウムイオン電池発火時の安全性研究に取り組んでいます。
     本テーマでは、行政機関の調査に協力し、リチウムイオン電池火災を想定した実験を実施しました。

     

    【成果】
     電気自動車用リチウムイオン電池を対象に熱暴走を誘起し、燃焼挙動を映像で記録するとともに、温度、電圧、発生ガス、粉塵濃度をリアルタイムで取得する実験系を新たに構築しました。図は、燃焼の様子と、熱暴走前後に得られた各計測データの時間変化を示しています。リアルタイムでデータを取得することで、目に見えないガスや粉塵が、どのタイミングでどのくらい発生するかを捉えることが可能になりました。
     特に重要な結果として、火炎が確認されない場合でも、可燃性・有毒性のガスが発生し、残留し得ることが分かりました。本研究により、リチウムイオン電池の安全性を評価するには、燃える・燃えないという観点だけでなく、発生ガスや粉塵、温度変化などを含めて包括的にデータを取得することが重要であることを示しました。
     これらの成果は、東京消防庁が公表した「電気設備等における総合的な防火安全対策に関する調査研究結果」として取りまとめられました1)

     

     

    図 電気自動車に使用されるリチウムイオン電池の燃焼挙動と各種リアルタイム測定結果の例

     

    【成果の意義・今後の展開】
     リチウムイオン電池の熱暴走時に生じる温度、電圧、発生ガス、粉塵などをリアルタイムで取得する実験系を構築し、熱暴走時に「いつ・何が起こっているのか」を時間の流れに沿って把握することを可能としました。今回の実験では電気自動車用リチウムイオン電池に着目し消火活動や安全対策の検討に活用できる知見を得ました。
     今後は、さらに電池の種類、充電状態、劣化状態の違いを考慮したデータの取得を進めるとともに、実際に火災が起こった際の消火方法や消火後の安全確認手法の構築に取り組みます。

     

     

    1)東京消防庁「電気設備等における総合的な防火安全対策に関する調査研究結果」
    URL: https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kouhyou/report/electricity.html

    2026年07月10日