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  • 市販IoT機器相当の電気エネルギー条件における火花点火性評価結果
  • 市販IoT機器相当の電気エネルギー条件における火花点火性評価結果

    牧野良次(爆発利用・産業保安研究グループ)

    • 久保田士郎(爆発安全研究グループ)
    • 佐分利禎(安全科学研究部門)
    • 野田和俊(爆発利用・産業保安研究グループ)

    【背景・経緯】
     近年、化学プラント周辺の危険区域(可燃性雰囲気が存在するおそれのある場所)においてIoTセンサーなどの小電力機器を活用するニーズが高まっています。それに伴い、それらの機器から発生する可能性のある火花による可燃性雰囲気への点火リスクの評価が求められています。特に、低消費電力で動作するセンサーや通信機器が広く普及する中で、それらを危険区域で安全に利用できるかどうかが重要な課題となっています。本研究では、電圧、電流などの電気的パラメータとして市販されている機器の調査から得た値を設定し、その条件のもとで火花が実際に点火能力を有するかどうかを検証することを目的として、IEC 60079-11(本質安全防爆構造)に基づく火花点火試験を実施しました。

     

    【成果】
     バッテリ単体の点火リスクの確認として、LiPoバッテリ(3.7 V・40 mAh、110 mAh)、太陽電池(約6.8 V小型パネル)、スーパーキャパシタの短絡試験を行いました。これらは小電力機器で一般的に用いられる電源であり、その単体での点火可能性を確認することを目的としています。加えて、電圧を5 V印加し、電流を50 mA流した場合のキャパシタンスCとインダクタンスLの組み合わせ回路についても複数回の試験を実施しました(表)。試験にはIEC 60079-11に規定されている火花点火試験装置(試験ガス:水素約20 %)を用いました。その結果、各種バッテリおよび発電素子では点火は確認されず、C=250 µF・L=1000 µHの条件でも点火はゼロでしたが、C=500 µFの場合のみ点火が確認されました。これらの結果は、市販のIoT機器程度の電気エネルギーでは可燃性雰囲気への点火に至らないと見なしてよい可能性があることを示しています。

     

    表 L-C組み合わせ回路に対する火花点火試験結果(開路電圧5 V、短絡電流50 mA)

     

    【成果の意義・今後の展開】
     現行のIEC規格では、小電力機器であっても本質安全防爆認証を取得していなければ危険区域内で使用してはならないルールになっています。本研究の結果から、電圧、電流、キャパシタンス、インダクタンスに適切な条件を設定することで、危険区域での非防爆機器による点火を防止できる可能性が示されました。これを踏まえ、小電力であれば危険区域での非防爆機器の使用を認める(本質安全防爆認証の取得を不要とする)新たな国際規格の開発を検討します。

    2026年07月10日