ISO 5725シリーズ全6部の10年にわたる大改訂が完了
竹下潤一(社会とLCA研究グループ)
【背景・経緯】
ISO/TC69(統計的方法の適用)/SC6(測定方法と測定結果)では、測定精度を統計的に定量化する方法を規定した国際規格として、ISO 5725(測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)Part 1〜Part6を策定・出版しています。この規格は産業界で広く用いられ、新たな測定方法の社会実装において重要な役割を果たしています。しかし、これら規格の出版は1990年代後半であり、最新の知見が十分に取り入れられておらず、大改訂の必要性に迫られていました。制定から15年以上を経た2015年に大改訂プロジェクトが正式にスタートし、私を含む日本メンバーが作業部会(WG)コンビーナを歴代務め、私自身はPart 2・Part 6の改訂プロジェクトリーダーも務めました。
【成果】
今回、日本がコンビーナを務めるWGが主導し、各Partについて下表に示すような改訂を実現しました。Part 1では、測定精度に関する新たな用語を追加・整理し、測定結果のばらつきの評価方法についてのガイダンスを充実させました。Part 2では、コンピュータを活用した手法を導入し、必要な試験所の数の目安や判定基準の計算方法も追加しました。Part 3では、共同実験をより効率的・柔軟に行うための実験計画を拡充し、検討すべき条件についても解説を加えました。Part 4では、測定値のかたよりを評価する際に用いる参照値の扱い方を整理し、その誤差の考慮方法も明確化しました。Part 5では、一部の実験方法をPart 3に整理・統合するとともに、外れ値が含まれていても正確な結果を導きやすいロバストな解析手法も追加しました。Part 6では、関連する最新の国際規格との整合性を確保するとともに、計算手順を詳しく解説し、実用性を高めました。

表 新ISO 5725シリーズ(Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results:測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度))のタイトルと出版年の一覧
【成果の意義・今後の展開】
今回、10年にわたる大改訂作業が完了し、旧版出版後の統計的方法の進展が反映されるとともに、より実用的なものへと改訂されました。ISO 5725には対応する日本産業規格(JIS Z 8402シリーズ)があり、今回のISO改訂に合わせたJIS改正も計画されています。今後、このJIS改正についても積極的に関わり、JIS改正時に発見された誤り等をISOへフィードバックするなど、国内と国際をつなぐ役割も果たしていきたいと考えます。
2026年07月10日

