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  • 自然植生による爆風圧低減可能性に関する数値解析
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    杉山勇太(爆発安全研究グループ)

    【背景・経緯】
     火薬類の爆発によって発生する爆風は周囲に深刻な被害を及ぼす可能性があるため、爆発影響低減化技術の開発を行なっています。日本は山国であり森林帯が豊富に存在することから、2025年度の研究紹介1)において、自然植生による爆風圧低減可能性を検討しました。小規模の室内実験であったため、本物の木ではなくジオラマ模型で使用されるモデルツリーを0.5 gの爆薬の周囲に配置して実験を行った結果、モデルツリーを設置するだけで爆風圧が低減できることがわかりました。しかし実験だけでは爆風圧低減機構が明らかにはならなかったため、モデルツリーと爆風の干渉現象を考慮した数値解析によって実験を再現し、爆風圧低減機構を定量的に検討しました。

     

    【成果】
     図(a)は計算条件であり、2025年度の研究紹介1)で紹介した初期条件を数値解析において再現しました。モデルツリーは幹と枝の金属部分を無視して葉(発泡ナイロン)のみを考慮し、爆発によって発生した高速・高温ガスとの抗力と熱伝達を考慮しました。図(b)に爆風圧分布を示します。プロットと実線はそれぞれ実験と数値解析結果であり、モデルツリーによる爆風圧低減効果を再現することができました。爆風圧低減機構を定量的に検討するため、図(c)に高速・高温ガスとモデルツリー間で生じる抗力と熱伝達によってモデルツリーが吸収したエネルギー量(左軸)と0.5 gの爆薬が放出したエネルギーに対する吸収量の割合(右軸)の履歴を示します。熱伝達と抗力によって爆薬エネルギーが吸収されており、熱伝達が支配的な要因(爆薬が放出したエネルギーの40%を吸収)であることがわかりました。爆風圧の大きさは爆薬が放出したエネルギーに依存することから、モデルツリーによるエネルギー吸収が重要であることがわかりました。

     

    図 爆薬周囲にモデルツリーを設置した場合の爆風圧低減効果の検証

     

     

    【成果の意義・今後の展開】
     モデルツリーと高速・高温ガスとの干渉によって生じるエネルギー吸収量と爆風圧低減効果の関係を整理してPhysics of Fluids2にて発表しました。この成果は自然植生による爆発影響低減の可能性を示唆しておりますが、爆発影響低減化技術として実装するためには、本物の木を使用する実験や木の物性を考慮した数値解析が必要です。また、木の設置範囲や高さなどが爆風圧低減効果に大きく影響すると考えられることから、引き続き様々な条件で研究を進めていきたいと思います。

     

     

    参考文献
    1)杉山:自然植生による爆風圧低減可能性に関する実験.  https://riss.aist.go.jp/research/20250715-3205/#gsc.tab=0
    2)Sugiyama et al., Physics of Fluids 37 (2025), 056107.  https://doi.org/10.1063/5.0269557

    2026年07月10日