再生プラスチックに含まれる可塑剤・難燃剤の実態を明らかに
篠原 直秀(暴露計測研究グループ)
【背景・経緯】
プラスチック資源循環の推進に伴い、使用済みプラスチックを原料とした再生プラスチックの利用拡大が求められています。一方、プラスチック製品には、可塑剤や難燃剤などさまざまな化学物質が使用されており、使用・回収・再生の過程で他の製品に由来する化学物質が混入する可能性もあります。再生プラスチックを安心して利用していくためには、これらの化学物質がどの程度含まれ、その濃度が原料や再生工程によってどのように異なるのかを把握するとともに、ヒトへの健康リスクを評価することが重要です。そこで、国内の再生プラスチックを対象に、可塑剤や難燃剤の含有実態を調査するとともに、初期リスク評価を実施しました。
【成果】
国内11か所のリサイクル工場から、主にポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)からなる再生プラスチックペレット44試料を収集し、可塑剤として広く使用されているフタル酸エステル類、近年フタル酸エステル類の代替物質として使用が増えている非フタル酸エステル可塑剤、可塑剤や難燃剤として使用されている有機リン酸エステル類の計26物質を分析しました。その結果、DEHP、TXIB、DEHT、ATBC、TCPP、TBEPなどが多くの試料から検出されましたが、対象物質の合計濃度はすべての試料で0.04%以下でした。また、PEとPPの間では濃度に明確な違いがみられなかった一方、原料となった廃プラスチックの由来によって、含まれる化学物質に特徴的な違いがみられました。さらに、再生プラスチックを使用した製品への皮膚接触を想定して健康リスクを評価した結果、安全側の条件設定でもハザード比は最大2.4×10⁻⁴でした。ハザード比が1を大きく下回ることから、今回対象とした物質による皮膚曝露を介した健康リスクの懸念はないことが示されました。

図 再生プラスチックに含まれる可塑剤・難燃剤の特徴
【成果の意義・今後の展開】
本研究で得られた再生プラスチック中の化学物質の含有実態や健康リスクに関する知見は、再生プラスチックの原料や用途に応じた化学物質管理や、安全な利用を進めるための基礎情報として活用できます。今後、対象とする添加剤や非意図的に混入する化学物質の種類を広げるとともに、用途や曝露経路を考慮したリスク評価を進め、再生プラスチックの安全な利用に貢献していきます。
※ 本研究は、Science of The Total Environment誌(1011巻, 論文番号: 181108,https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2025.181108)に掲載されました。
※ 本研究の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「サーキュラーエコノミーシステムの構築」(研究推進法人:独立行政法人環境再生保全機構)JPJ012290)により実施しました。
2026年10月21日

