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    大気拡散から暴露まで-ADMER・METI-LIS- 概要

    「知恵袋シリーズ」は、詳細リスク評価に関係する数多くのプロセスを特定の観点で切り取って解説します。シリーズのⅠでは、いわゆる環境動態モデルの主なシステムについて、データ入力→計算→出力の流れをできるだけ詳しく追いました。

    Ⅰ-1 ADMER-曝露・リスク評価大気拡散モデル

    第0章 構成と概要
    第1章 はじめに-ADMERとは
    第2章 計算範囲の設定
    第3章 排出量の設定
    第4章 気象情報の設定
    第5章 濃度・沈積量の計算
    第6章 結果の表示と確認
    第7章 モデルの検証
    第8章 応用と今後の展開
    広域(最大は全国レベル)における5km平方のグリッド単位の大気中濃度を推算するシステムです。トルエンをはじめ揮発性の高い化学物質の場合には、まずこのシステムで広域の濃度分布を推算し、METI-LISで高濃度域の濃度分布を細かく調べるというプロセスがほぼ確立されました。排出量の設定にはPRTR公表データを活用しますが、対象業種の固定届出排出源だけでなく、非対象業種・家庭、あるいは移動源などからの排出量をグリッド単位に割当てるには多大の努力が必要です。濃度推算では大きな意味をもつ気象条件を左右する割にはあまり馴染みのない大気安定度・混合層高さなどの基本を解説しました。

    Ⅰ-2 METI-LIS-低煙源工場拡散大気濃度推算システム

    第1章 はじめに
    第2章 計算範囲:シナリオの設定
    第3章 排出源の設定
    第4章 気象情報の設定
    第5章 建屋情報の設定
    第6章 濃度・沈着量の計算
    第7章 結果の表示
    第8章 モデルの検証とまとめ
    点源や線源などの具体的な発生源からの排出による周辺濃度の推算システムです。ADMERと同じように気象データとしてはアメダスデータを活用します。古くは工場からの排出は高いエントツからのものが主でしたが、最近ではそれほど高くない煙源からの排出が支配的で周辺の建物による巻き込みで地上濃度が高くなる傾向にあります。ベンゼンやブタジエンの場合は無視できない近傍の道路を通行する車両からの排出量を線源として処理します。それらの程度を評価する機能の内容を、一般には入手困難な資料から解説しました。米国EPAがISCモデルからAERMODモデルへ変換するニュースにも触れています。

    Ⅰ-3 媒体間移動の評価

    第1章 はじめに
    第2章 具体的な評価過程
    第3章 評価システムの例
    第4章 検証・応用・まとめ
    レセプターが受ける暴露量を推算するためには、基本的な環境媒体(大気・土壌・水・底質)から、植物・家畜・魚介類などへの物質の移動・分配・分解過程を評価する必要があります。いわゆる環境動態です。数多くの素過程のうち代表的なものをとりあげました。大気中のガス態と粒子吸着態との間の分配平衡を記述するJunge定数の意味などに触れた後、CRMで開発されたRisk Learningの機能を解説しました。

    Ⅰ-4 暴露量(摂取量)の評価

    1. 基本:摂取、取込み
    2. 摂取量と吸収量の関係
    3. 摂取量の評価法
    4. シナリオに応じたパラメータ
    5. さらなる展開
    暴露媒体から体内への取込量評価が暴露量を決めます。基本的な諸過程の他に、経皮吸収・吸収率などの問題もとりあげました。体重・摂食量などの分布をもつデータから計算する際に活用するモンテカルロ法の基本を解説しました。

    本書の構成などに関して

    ・基本として、左右2ページの見開きをひとつの単位とし、左側ページで文章により解説し、右側ページに図あるいは表を配置しました。
    ・図あるいは表は、あくまでも例示のためのものです。詳しい論理、あるいは数値データを具体的に必要とするときには、原資料を参照してください。
    ・ADMER、METI-LIS、Risk Learning などの評価システムには、詳しいマニュアルや取扱説明書が用意されています。システムを実際に使う場合には、それらをご利用ください。

    リスク評価の知恵袋シリーズ1 「大気拡散から暴露まで-ADMER・METI-LIS-」は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託のプロジェクト「化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発」のテーマ「リスク評価、リスク評価手法の開発及び管理対策の削減効果分析」の研究成果です。

    リスク評価の知恵袋シリーズ1の全文は、「大気拡散から暴露まで-ADMER・METI-LIS-」(丸善株式会社)として2007年7月に刊行されている。 (ここをクリック