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    河尻耕太郎(社会とLCA研究グループ)

    【背景・経緯】

    近年、将来技術(Emerging technology)の開発に関する意思決定のために、研究開発段階の将来技術の環境影響評価が必要とされています。本研究により、将来技術が大規模実用化された際の環境負荷・コストを推計し、既存技術との比較、将来的な技術課題の「見える化」が可能になります。2014年度産総研イノベーション推進予算、2017年度つくば市技術コンサルティング、2018年度ISMA「新材料の材料代替効果定量技術の開発」、2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/アルミニウム素材の高度資源循環システム構築」等の支援を得て、これまでに20件を超える将来技術を評価するとともに、国際査読付論文(筆頭)が3報掲載され、現在2報が査読中です。

     

    【2019年度の取組みと成果】

    2019年度は、過去に行われたカーボンナノチューブ(CNT)スーパーグロース法、軽量化材料による環境影響評価、革新的炭素繊維合成法に関する研究を論文化するとともに、「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/アルミニウム素材の高度資源循環システム構築」において、アルミニウムリサイクル技術の環境影響評価を行いました。2019年度において、CNTスーパーグロース法に関する研究(図参照)と軽量化材料による環境影響評価の研究が、どちらもJournal of Cleaner Productionに掲載(筆頭)されるとともに、革新的炭素繊維合成法に関する論文2報(1報筆頭、1報共著)を投稿しました。図は、ラボスケールとパイロットプラントスケールのインベントリデータを基に、商業スケールのCNTスーパーグロース法によるCNT1kgあたりのGHG排出量をそれぞれ推計した結果です。図より、技術のフェーズやスケール効果の推計手法によってトータルのGHG排出量や内訳に差異が生じることが分かります。

     

    【成果の意義・今後の展開】

    本研究により、将来技術が大規模実用化された際の環境負荷・コストを推計し、既存技術との比較、将来的な技術課題の「見える化」が可能になります。本研究を通じて、将来技術の開発に関する意思決定を促進し、ひいては将来技術の実用化促進を支援します。今後も、民間企業、関係省庁と連携し、将来技術の実用化促進に貢献します。

     

    ※ 2014年度産総研イノベーション推進予算、2017年度つくば市技術コンサルティング、2018年度ISMA「新材料の材料代替効果定量技術の開発」、2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/アルミニウム素材の高度資源循環システム構築」

    2020年07月15日