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  • インベントリデータベースIDEA Ver.3の公開とLCA活用推進コンソーシアムの設立
  • インベントリデータベースIDEA Ver.3の公開とLCA活用推進コンソーシアムの設立

    田原 聖隆(安全科学研究部門、IDEAラボ)

    • 塚原 建一郎(社会とLCA研究グループ)
    • CHUN YOON-YOUNG(社会とLCA研究グループ)

    【背景・経緯】

    カーボンニュートラル達成に向けては、事業者の皆様への脱炭素イノベーション導入・普及が不可欠です。我々はライフサイクル/バリューチェーンを考慮したGHG排出量の見える化がイノベーションの実現に重要な役割を果たすと考え、一貫性・信頼性・公平性のある評価方法及びインベントリデータベースIDEAの開発/普及に取り組んでいます。データ更新のニーズに応えるために、2015年の統計データを活用してVer.3.1の開発、公開を実施しました。また、脱炭素イノベーションの普及に向け、製造業だけではなく、製造業を支援する金融業などにも広く「見える化」を理解していただき、持続可能な社会の実現を進めていくことを目的としたLCA活用推進コンソーシアムを設立いたしました。

     

    【成果】

    IDEA Ver.3.1は、約4,700種類のエネルギー、工業製品、廃棄物処理、農業製品等の日本の全ての製品・サービスの環境負荷物質(CO2をはじめ、NOx、SOx,PM2.5、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛などの化学物質の排出、鉄や銅などの資源消費)を定量できるデータベースです。また、製品・サービス量あたりの環境負荷量の数値を提供するだけでなく、各製品の製造プロセスの入出データも提供しています。データ作成は、日本標準産業分類を参照して網羅的に実施しました。参考にしている統計データは、2015年の特定業種石油等消費統計調査、エネルギー消費統計調査、経済センサスや産業連関表などです。

    LCA活用推進コンソーシアムでは、最新トピックに関する講演会(製造業等における活用動向、国内外のESG関連ファイナンスの動向など)、LCA基礎、データベース利用方法などの講習会、会員同士の情報交換、意見交換の場の提供、LCAデータベース IDEA新バージョンの整備・提供(毎年更新)、Scope3算定ツールの作成・提供を実施しています。2022年1月現在156団体の会員で運営しています。

    図 LCA活用推進コンソーシアムの概念図

    図 LCA活用推進コンソーシアムの概念図

     

    【成果の意義・今後の展開】

    IDEAはLCA活用推進コンソーシアムの活動として、毎年(4月)に更新版を会員に提供できるように維持・更新を実施していきます。最新のインベントリデータを活用して、Scope3の算定や、製品の環境負荷の算定を支援することで、持続可能な社会形成に貢献していきます。今後、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、将来技術を評価可能とする、将来のインベントリデータベースも開発、提供していく予定です。

     

    2022年02月09日